malicia witness 2階の目線2006
第86回天皇杯全日本サッカー選手権

12月9日 大分トリニータ  長崎

長崎は良い所だ。

先ず空港のロケーションが素晴らしい。静かな大村湾にぽっかり浮かんだ空港にすっと舞い降りるのは心地良い。京都とはまた違った歴史を感じさせてくれる和洋折衷な町並み、路面電車、中華街。いろんな国の味が混ざり合って独自の味覚となって昇華した食べ物。珍しくて喜ばれるお土産品の数々。

観光地として申し分無い。

最近、全国津々浦々の土地を訪れるようになった。それらは殆どマリノスの試合のある所に限られるのだが。今年は京都も福岡も大分も楽しい旅になった。でも新潟や広島、大阪とか清水はそんなに楽しくなかった。それぞれに良い街なのだけれど。

そして去年の長崎も楽しくなんかなかった。観光地としては申し分ないのに。

そう。要するに勝てないとつまらない。其処に至る道のりが険しいほど喪失感が楽しさを奪ってしまう。天皇杯は特にそうだ。負けたら其処で終わってしまう。

また長崎にやってきた。去年の天皇杯で失ったものを取り戻しに。リーグ戦で失ったものを取り戻しに。

相手は大分。

ホーム最終戦で勝てなかった相手だが内容で負けていたとは思っていない。ディフレクションで運悪く1点獲られたに過ぎない。まぁ実際は勝っていたとも思えなかったのだが。水沼マリノスが4バックにトライし続けてようやく形になってきた千葉戦での小気味良いサッカーが出来れば九石ドームでの大分戦の結果を再現出来るに違いない、と自分に言い聞かせる。

生憎の雨。

関西の何処かのチームほどではないにせよどうも雨は苦手なイメージがある。フィジカルな試合になりがちなのに割り切ったサッカーが出来ないように思う。きっと都合の良い使われ方をする精神力ってやつが勝敗を決するだろう。今までの歴史からそんなものは期待しちゃいけないような気もするがそんな負の歴史は何処かで断ち切らなければいけない。

ドゥトラも奥も居ない現実に一抹の寂しさを覚える。

チームの方針ならば致し方無いが、そうでないのであれば契約期間を最後まで全うするのがプロというものではないのか。奥のコメントが本当ならば好きな選手だっただけにがっかりしてしまう。だがここ長崎に来ているのはモチベーションに満たされている者ばかりのはずだ。どうか勝利を。

長崎のスタジアムの電光掲示板は飾りだ。辛うじてアナログ時計と45分計は稼動しているが。スコアは芝の斜面に寝かせたボードで表示。選手紹介がやたら遅くて変な間が空くのはメインスタンド側に向いた選手名を差し込むボードの建てつけが悪くて直ぐに差し込めないからだ。読み上げる声がなんか読み方が分かってないっぽい感じがするというのはきっと気のせいだ。

地理的に近いのでやはり大分サポの方がちょっと多い。メインスタンドは同じ九州だから大分を応援しようかなといった一見さんが目に付く。地元の少年サッカーチームの子供達も沢山来ているがとにかく落ち着かない。殆ど試合なんか見ちゃいないんじゃないかという位せわしなく動き回っている。実に地方開催の天皇杯らしいのどかな風景。

坂田!

千葉戦で見せてくれたゴールを髣髴とさせる反転シュートがゴールに突き刺さる。他にも積極的に仕掛けてシュートを撃つシーンが多い。どうやら坂田の千葉ドーピングはまだ効いているようだ。カップ戦なので戦い方は千葉戦よりも守備側にシフトしているものの攻撃的な姿勢は崩していないように見える。上野と河合を入れ替えて臨んだ事で攻守の切り替えでもたつきは感じるが試合の特性を考慮したゲームプランとして理解出来る。押していたように見えた前半を1得点のみで折り返す。2点目を取れなかった事が後半どう響くか。副審がどうにも怪しくて信頼されていない。

ハーフタイムの場内アナウンス。
「滅多に手に入らないマリノスとトリニータのグッズを販売していますのでこの機会にどうぞご購入下さい。」
子供達は素直だ。
「グッズ何買ってきた?」
どうやら結構楽しんでくれているようだ。大分グッズを買う子が多いが中には「こっちの方がカッコいいから」とマリノスグッズを買っている子もチラホラ。いいぞ。その調子ですくすく育ってくれ。

後半、雨脚が強くなる。フィジカルな試合になってきた。大分のファール、かと思いきや主審に流される。納得行かない流れのまま同点ゴールを許す。今年よく見た詰まらない失点の仕方。だがこのままずるずるとひっくり返されるような事は無く守備陣が踏ん張り慎重な試合展開が続く。それでも次の1点を取りに行く為に攻撃の選手を入れ替える。清水が出てきた時ちょっとびびったのは内緒だ。

延長でも決着つかずPK戦。大きな円陣が心を1つにする。祈るような気持ちで(いや、実際祈ってた)見つめるPK戦。哲也が神戸へのドアを開けてくれた。
(一回狩野が閉じようとしたけど。)
すっきりした勝利ではないけれど、前に進めたことが全て。

子供達は素直だ。帰り際には大分グッズを買った子もマリノスのチャントを口ずさんでいた。一瞬、たまに地方でやるのも悪くないかもしれないと思った。

そういえばゲーム中に此方の選手が傷んでいる時にボールを出さず攻めきった大分の姿勢に怒った水沼監督が大分ベンチに猛抗議していた。甘っちょろいとも思うが一貫しているのであれはもうポリシーなんだろう。

今年は日帰りにしちゃったから卓袱料理を食べられなかったし試合中はずっと雨に打たれていたけれど今年の長崎はとても楽しかった。

今年の長崎は申し分ない。








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