malicia witness 2階の目線2008
J1リーグ 08-09シーズン

11月22日 ジェフ千葉  フクダ電子アリーナ

好天に恵まれ、11月下旬にしてはうららかな陽気。3連休の真ん中ということもあり、京葉線は結構な混雑。聞けば、TDRは予約券のみで当日券の販売がないらしい。まさにレジャー日和。しかし、蘇我駅に向かう自分の気持ちはそんな浮かれ気分とは程遠い。

最寄り駅から歩いて10分足らず、試合当日には様々な屋台が軒を連ね、そしてピッチが近くどの席からも見やすい専用スタジアム、フクアリ。3年前の同一カードによる?落とし以来、このスタジアムへの遠征はいつももっと楽しめるものだったのだが。

「 残 留 」

スタジアムに着くなり、前面に大きく掲げられた横断幕の出迎えを受ける。リーグ戦終盤、今日の相手であるジェフは勝点35の17位、自動降格圏内。対するトリコロールも順位こそ12位とはいえ、未だ勝点39。今日の結果によっては、残り2節にして残留争いの真っ只中に突き落とされる。近年なぜかシーズン終盤に組まれることの多いアウェイ千葉戦であるが、ここまで互いに緊迫感を孕んでの対戦は記憶にない。

ジェフサポーターが集っている様をよそ目にアウェイ側の入り口へ向かう。開門までまだ1時間以上あるものの、すでに長い列が3列ほど。早い出足に、未だ残留争いから抜け出せていない現実を感じる。

ほどなくスタジアムをはさんで反対側から、ジェフのチャントが聞こえてきた。社長やレディースの選手、スタジアムDJを交えて残留への決起集会が行われていたらしい。日本リーグ時代を通じて2部落ちの経験がないジェフ。サポーターを中心に、残留にかけるチームの想いが伝わってくる。

開門を待ちながら携帯でスタメンをチェック。千葉はミシェウがベンチスタート。なぜ?でもやっぱり深井は怖い…と見ていると、横浜は天皇杯と同様に金根煥をトップにすえたフォーメーション。

「練習では根煥のFW、悪くないみたいだけどねー」
「でも現時点で坂田や大島よりも根煥のが良いってこと?それもなあ」
「それより、ベンチにボランチとディフェンスの控えが誰もいない…」
「えーっ!」

ディフェンスにアクシデントがあった場合どう対処するのか。一抹の不安を抱えつつ開門を迎える。

15分ほどして入場し、席を確保。対面の千葉ゴール裏はすでに5割ほどの入り。こちらも人の途切れることなく席が埋まり、キックオフ1時間前には双方の自由席がほぼ満席となった。自由席を確保できずにアウェイコーナーのチケットを手にした仲間の顔が見える。席の種類は違えど、この試合にかける思いは同じ。

普段はコンコースを一周できるフクアリだが、今日はさすがに完全隔離。緊張感は否が応でも高まってくる。

試合を前に、ジェフレディースの1部昇格報告会が開かれた。
「私たちは、来シーズン、1部で戦います! トップチームも、絶対、残留!!!」

トップチームにリザーブス、レディースと裾野広く展開している千葉。クラブ一体となっての残留への決意表明。しかし我々も、その声に臆している場合ではない。ここは、決戦の場。その想いをコールに乗せて手を叩き、声を上げる。

コールの途切れぬまま選手のアップが始まり、気づけばスタンドは超満員。すでに階段に腰をかける者あり、席をあきらめ一番奥で立ち見するものあり。ふと自分の手を見やると、キックオフに向け気温が徐々に下がってきていると言うのに、うっすらと汗を握っていた。

「この緊張感はエコパの磐田戦以来かなー」
「何だかんだ言ってもそこらへんの直接対決で勝ってるのが大きいんだよね」
「逆に、いらんところで勝ち点落としてるってのがな…」

高い緊張感のまま、90分間の決戦のキックオフを迎える。

しかし前半は、お互いに「負けられない」=「失点したくない」と言う気持ちがプレーの端々に見える展開。深井の突破、工藤の展開に時折手こずるも、巻が孤立する場面が多く千葉の攻めに脅威がない。チェックの甘さからミドルを何本か打たれるも、精度の低さに救われる。

対する横浜も、狩野とハユマの連繋でところどころにミスが生じ、河合のもたつきもあってチャンスが潰えるシーンが目立つ。狩野は好調ぶりが相手にも研究され、早めに潰されることが多い。左サイドは裕介と小宮山が効果的に連動。中でも小宮山は最近の不調の噂を払拭するように仕掛ける。それでもターゲットとなるべき根煥が詰めておらず、最後の1本が打てない。

前半の中ごろ、ドリブルでゴール前に仕掛けた狩野が倒されていい位置でFK。早く鋭いボールが枠に飛ぶも、千葉のGK岡本が懸命にはじき出す。
「あー、惜しいな〜」
「まあ狙うとしたらあそこしかないもんね」
ほぼ、膠着。前半のうち得点の匂いがしたのはこのシーンくらいだった。

「セットプレーのときのボスナーが怖いよね。ターゲットにもなるし、強烈なシュートも蹴れるでしょ、あいつ」
「でも、根煥思ったよりもボスナーに競れてたよね。ハイボールは互角だった」
「だけどFWの動きじゃないんだよな。あそこから振り向いてシュートとかはムリっぽい」

このままだとスコアレスドローもあるかも…そんな思いの中、後半に向け選手がピッチに入ってくる。
「勝って帰ろうぜ!頼むぞ!」

その後半、まるで見違えたような展開が目の前で繰り広げられる。まず根煥。ボスナーと互角どころかほぼ制圧。足元でボールを収めてそこから振り向いたりキープしたりと、求められる役割を着実にこなしている。ただ、そこからのシュートがミートせずスタンドからため息が漏れる。

一番の変化はサイドの活性化だろう。前半は見られなかった一本のサイドチェンジが立て続けに通り始める。千葉の深井・矢澤はともにドリブル突破を得意とするサイドだが、守備はあまり得意でないのか逆のサイドがフリーになるシーンが多い。そこを見逃さず放つサイドチェンジからたびたびチャンスが生まれる。

センターサークル付近で千葉がファウル。すばやいリスタートから右サイドを駆け上がった根煥にボールが通ると、ハユマはゴール前に斜めに切り込んでいく。そこに出たボールが流れると、フリーで走りこんだ兵藤がするべきことは、落ち着いて右足を振りぬくことだけだった。

「すごい!やったぞ!」
「きれいな流れだったなー、今!」
「兵藤、リーグ戦初ゴールだ!」
京都戦では煮え湯を飲まされたリスタートからの得点に、トリコロールのゴール裏が歓喜する。

そのわずか3分後、ハユマからのクロスチェンジを受け左サイドを突破する小宮山。対応する相手SBをあざ笑うかのようなフェイントを見せて切り返す。
「打て!」
振りぬいた右足が放った放物線は、GKの手に触れることなく逆のサイドネットに突き刺さった。
「来た!コミドル!」
「美しすぎる!」

中盤の守備を一人で支えていた下村は、ここにきて完全に足が止まっている。小宮山の得点シーンでも、坂本が抜かれたにもかかわらず、中途半端なポジショニングでシュートの軌道を目で追うことしかできていない。

そしてボスナーとCBを組む池田はマークする相手を決められず、ピッチ上を彷徨っている。根煥がボスナー・池田二人を相手に仕事ができているため、千葉の両SBはCBのフォローに回らざるを得ず、その結果トリコロールの両サイドは枷が外れたように躍動している。

「池田のところに清水か坂田当てれば対処できないんじゃない?」
「それよりもハユマ、2mくらいトラップミスしても持ち直せてたぞ」

ゴール前3mで完全にフリーの狩野にボールが渡る。インサイドで転がすだけでよかったのだが、放ったシュートは枠の上を大きく外れる。
「それを外すかああああ」

千葉にとってなお悪いことに、前半のうちに腕を痛めていた模様の深井がここで交代。
「ここで深井下げるか〜」
「ウチにとってはついてるよな。アイツの仕掛けがやっぱり怖かったし」
試合を通して谷澤は機能していない。千葉はこれでほぼ攻め手を失った。

逆襲に転じようと左サイドから仕掛けるも、連繋ミスでボールを失う千葉。栗原はそのこぼれ球を拾うと、早い判断で走りこむ兵藤に即座にスルーパス。右サイドをフリーで突破した兵藤が低いクロスを中央に送る。そこに走りこんだ根煥は、誰にも妨げられることなくボールをゴールに流し込んだ。
「根煥まで初ゴール!」
「とどめだ!これで勝った!」
「本物のストライカーみたいだったぞ、根煥!」

8分間で3点。立て続けの得点にトリコロールの選手とゴール裏が爆発する。対する千葉のゴール裏は懸命に声を上げているが、ピッチ上の選手はさすがに気持ちが折れたように見えた。

ミラーはあわてて新居に替えてミシェウを投入。中盤でボールが納まり始めた千葉はようやく攻め始めるが、後手を踏んだ感は否めない。守備の崩壊は相変わらずで、前がかりになった裏を突破しようとした兵藤をボスナーが倒して警告を受ける。

その後横浜も立て続けに3枚の交代カードを切る。しかし大島も坂田もピッチに投入されることはなく。
「宏太とアーリアの起用はやっぱり実戦経験ってやつかなあ」
「まあこの点差なら悪い判断ではないけどね」
「でも坂田も大島もそこまで調子悪いの?」

右サイドに流れたレイナウドのシュートのこぼれ球にミシェウが詰めるというシーンが2度ほどあったが、哲也が的確に処理して得点を許さない。

ロスタイムの波乱もなく、危なげなく完封勝利。トリコロールは勝ち点3を重ね、残留をほぼ確定させた。

試合前の緊迫感が嘘のように、終わってみれば完勝だった。それでも、ここで一息ついてしまっては京都戦と同じ轍を踏むことになる。あの緊迫感を忘れずに、残るリーグ戦と天皇杯を戦い抜こう。

そして今シーズンの不調のきっかけは紛れもなく、国立でのアウェイ読売戦からだった。あの悪夢を払拭するために、そして読売に引導を渡すために。何より、1部残留を確実にするために。次節、日産スタジアムで決戦の時を迎える。


今日のポイント

●満員のスタジアムが生み出す「空気」。
●結果を出した金のFW起用。
●「木村監督の目指すサッカー」が具現化されてきているということか。
●最後まで大島を出さなかったのは、「戦力外」の布石かと今は感じる。
●ジュニアユースまでジェフに在籍していた小宮山、大きな仕事。


白火

相手の守備のまずさもあったとはいえ、後半はハーフコートフットボール。ハーフタイムにしっかり修正してきた采配は評価すべきと思う。

満員のフクアリの緊張感

700

ベンチメンバーへの不安

-100

膠着の前半

50
後半からの効果的なサイドチェンジ
300

頼もしくなってきた兵藤

500

久々の小宮山ミドル

500
1トップの役割を果たした根煥
700
決めたかった狩野
100
形が見えてきた3−4−3
1000
しっかり締めた哲也
600
勝ち点3の安堵
2000
6350

stan

前半は落ち着かない展開も球際でのフィジカルとテクニックに分があり、FWさえまともになれば勝てるとみていた。後半になってFWにボールが納まるようになったのが交代策に依らないものであったのは驚き。ほぼ残留を決めたのは良いが、このゲームで育成交代はいただけない。

懲りずに0トップ

-200

ベンチにFW4DF0って

-100

案の定前半前で納まらず

-100
河合と小椋のアグレッシブな守備
200

両サイドの押し込みっぷり

300

それらを可能にする強気の最終ライン

300
なんか後半急にFWっぽくなったキム
300
運動量に精度が加わってきた兵藤
500
狩野の落ち着き
200
3ゴール
1500
育成交替
-200
地味に良かった榎本
200
完封
1000
勝ち点3
1500
組み合わせ次第ではゲームが荒れそうだった高山主審
-100
でもカードが少ないのは助かる
100
5800

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