malicia witness 2階の目線2009
J1リーグ 09-10シーズン

4月29日 ジュビロ磐田  日産スタジアム

「イグノって大したことねぇなぁ。」
「栗原は戻るところないんじゃないのか。」
「クナンって、やっぱりうちのディフェンダーって感じだよ。」
「やっぱ1−0っていいな。面白い試合だったよ。」
「守備が基本のチームだからねー。」
この試合は5−0の先日の試合よりもずっと緊迫感があり、勝利の瞬間の喜びの爆発は、遥かに大きなパワーを破裂させる。
「頼むぞー!松田!!」
「中澤、頼むぞー!!」
「飯倉!!頼むぞ!!」
「頼むぞー!那須!!」
緊張感溢れるキックオフ。その空気を打ち破るかのごとく、狩野のシュートで幕を開ける。そして右の裕介がドリブル突破し折り返し中央の渡邉へクロスボール。狙いがカタチになった立ち上がり。小宮山はクロスを入れることが出来なかったがドリブル突破からコーナーキックを得る。ゴールにならなくとも主導権を握りたい。だから、とにかく立ち上がりは攻める。ハッタリであっても攻める。直接対決で先手を取ることは大切だ。そして、今日、序盤のトリコロールの躍動は勝利を予感させるものだった。

「理屈じゃねぇ、いいから6番のとこに入れるんだよ!」
標的となるのは、弱虫の那須。

さて、注目のイグノが見せた最大の見せ場は序盤の1つのプレー。オフサイドラインをすり抜け飯倉と一対一。
「ヤバい!!」
しかし、アウトサイドキックのシュートが浮き球と合わずに空振り。
「助かった!!」
「う〜ん、ヤバいね。」
「さすがに早い。」
ここからしばらくはジュビロのペースで試合が進む。しかし、心理的に効いているのは序盤のトリコロールの攻勢。あの先制攻撃があったからこそ、攻撃を受けても安心して見ることが出来る。気持ちの入った立ち上がり10分間は90分間の真の支配者の決定をも左右する。守備の強いトリコロールが、この日は鋭い攻撃でジュビロゴールを次から次へと強襲することが出来る、そのイメージは、常にスタンドとピッチの脳裏に残っているはずだ。

押しているとも押されているとも言いようのない前半を終える。立ち上がりの10分間を過ぎると中盤を創れない両チーム。トリコロールは両サイドに高いポジションをとれという指示が出ているのだろうが、小宮山と裕介のウイングがどちらも上がりっ放しで上下動の繰り返しがないため、中盤でのパスコースが生まれない。シュートに持ち込む積極性はあるが工夫が足りない。自分たちでゲームを難しくしてしまっている感がある。負けたくない試合にありがちな仕掛けの運動量が少ないゲームだ。

ゴールは突然やってくる。

縦にボールが入る。背中にディフェンダー2人を背負った渡邉だが、素早く反転すると、ボールはゴールに向かって飛んでゆき、勢い良くゴールネットがツーンと後ろに伸び、その瞬間、シュートが先制点を得たことを知る。
「凄い!!」
一瞬の間も置かず、総立ちになり飛び跳ね、賞賛と驚きを味方と共有。座席は座席ではなくなり身体をぶつけて何事かを叫び、一気にアドレナリンを噴出させる。

見事なゴールだ。

まさかのタイミングで反転してのゴール。このような本格的なストライカーの嗅覚を感じさせるゴールはディアス以来ではないか(久保は違った野性味でゴールを量産した選手だった)。力強く、かつ芸術的な一連の動きは、たった一得点であって一得点以上の意味を感じさせる。

トリコロールの試合にありがちなのは、せっかくのリードを不用意なミスから失うこと。

そんな試合を振り返ると主導権を失う瞬間があったことが解る。だからこそ、小宮山と山瀬が相次いで決定機を逸した際には厳しい声が飛ぶ。
「しっかり撃てよ。流れが変わっちゃうじゃないか。」
「馬鹿やろう!せめて枠に撃て!!」
特に、スカパーで倉敷さんが「親切なパス」と評した狩野のパスを受けて川口と一対一になりながら、力一杯のシュートを放ち枠を外した山瀬のプレーはもったいない。鹿島での股抜きスルーパスに続き、狩野の芸術的なラストパスは、またしてもゴールに結びつかない。

ジュビロには前からプレッシャーをかけてボールを奪おうという意図が見えない。だから、最終ラインから中盤の底にかけてでトリコロールはたやすくボール回しが出来る。両サイドは相変わらず上がりっ放しなので、左右に大胆に崩しのパスを繋ぐことは難しいが、後ろでパスを回していても、なんら心配がない。そのうち痺れを切らしてジュビロが守備のバランスを崩して選手が個々にボールを奪いにくるとトリコロールは楔のボールを縦に入れる。なんと容易い攻撃方法だろう。イグノを除けば、ジュビロは単なる下位に沈むチームだった。

ジュビロの攻撃は、トリコロールのディフェンスラインの裏を狙ってオフサイドになるイグノ、中澤とクナンに潰されるイグノ、そして、後半早い時間に入ってきたジウシーニョの孤立したドリブル、さらには、フィジカルコンタクトでばったりと倒れるジュビロの選手達といったところが構成要素。ただ、右のジウシーニョの突破から入ったグランダーに飛び込んで来たイグノのプレーには肝を冷やす。シュートこそ放てないが、突破力と走力では光るものを魅せるイグノだが、この男さえ押さえてしまえば、ジュビロは3週間前のジュビロとなる。

「渡邉、下がってくるな!」
「サイドに出るなよ。守備なんて任せておけば良いんだよ。」
「ワンサイドカットだけしてりゃぁいいんだよ。」
何度か繰り返されるジュビロの攻撃に押し込まれるトリコロール。決定的なシュートにまで持ち込まれることは,ほとんどないが、間一髪でクリアするシーンの連続。
「よし!」
「クリアしろ!!」
「でも渡邉は前に置いておけよ。肝心なときにいないと困るじゃないか。」

劣勢の時間帯にも決定的なチャンスは来る。
「あ〜!」
せっかくの丁寧なクロスを狩野が宇宙開発。絶好のチャンスを逸する。続いて坂田の宇宙開発。
「あ〜!」
「またかよー。」
スタンドを安心させる追加点への道は近いようで遠い。

小椋を入れて守備を固める。ロスタイムは4分。
「え〜。」
「4分もあったのかよ。」
斉藤、金井を順に投入し時間を使う。後は逃げ切るのみ。ボールを動かしながら時間が進むことを願う。あからさまなコーナーキープをせず、攻めるふりも交えながら時間と消費する。そしてホイッスル。

勝利の瞬間の喜びの爆発は神戸戦よりも遥かに大きい。トリコロールには守備で競り勝つサッカーが似合う。90年代以来、横浜のスタンドには守備で勝利を引き寄せることの美徳が染み付いているのだ。ディフェンスラインでのボール奪取、バックパスを誘発する前線のチェイス、中盤での囲い込みなど、一つ一つの守備のプレーで拍手と歓声が起きるスタジアムだ。だから、この1−0で競り合いでの勝利に、大きな満足感がスタジアムを包み込む。

勘違いしてはならない。

プレミアリーグで、ここ数年のアーセナルは平均年齢22歳代〜23歳代のメンバーで闘うことも当たり前。今シーズンのカーリングカップのある試合では平均年齢19歳代で闘っている。一方、私たちは「若いチーム」ではない。平均年齢を過去のチームと比較して見るが良い。ここまで「若手育成」「若い」など数多くの言い訳により、トリコロールは過去最悪のシーズン立ち上がりとなっていた。しかし、万難を排して闘えば、この日の1−0勝利、鹿島での0−0引分けを得ることが出来るチームなのだ。若く青いチームではなく、熟成された守備の伝統を引き継ぎ「これぞトリコロール」という試合が出来るチームなのだ。ストライカーもいる(控えの層が薄いことは否定できないが)。浮上せよ、トリコロール。いつまでも荒波を避けて港に錨を下ろして経験の「若い」乗組員を大切に育てているわけにはいかないだろう。

島根から年間チケットで観戦に来たのつくん(日本海の超人)は、試合後の飲み会を途中退席した。これから北へ桜前線を追いかけて角館や弘前でサクラを見るのだという。そして3日後に日産スタジアムへ帰ってくる。そこには、福岡や長野からも年間チケットを持った仲間が帰ってくる。みな、トリコロールの勝利と与えてくれる非日常の感動に期待している。だから応援する。年間、たった1試合のために年間チケットを買う者もいる。

さぁ、トリコロールよ、逆襲してくれ。一緒に大海原に乗り出す大航海を、私たちは待ち望んでいる。


今日のポイント

●GWにしては寂しい客席。
●完全にツートップだった。
●選手交代が普通。
●衰えた西と太田。
●早さとセンスは十分に感じられたイグノ。
●熊本レンタルの成果か、

 プレッシャのかかる試合で無難にプレーした飯倉。


石井和裕

プロらしい試合だった。1−0は楽しい。

ファールせず守る今日も鉄壁クナンのディフェンス

500

狩野の親切なパス

400

アレを外すのか山瀬

300
驚いた渡邉ゴール
1500

イグノの突破力

600
納得の選手交代
200
持ち味発揮の小宮山
200
素早い動き出しとポジショニングで完封した飯倉
600
今日も鉄人・兵藤
400
直接対決で勝ち点3
500
勝利の瞬間の大歓声
400
みなで叫んだ「ボールボーイ!早すぎる!!」
100
5500

今野隆之

スタメンを見て目が点。裕介が右サイドと知って目が点。それでも千真のファインゴールを全員で守り切った価値ある勝利。千真と坂田の共存に目処が立ったのは好材料。

先発初勝利、判断適切な飯倉

700

本職でどんどんよくなるクナン

500

絶対エースだ電光石火の千真弾

1500
右サイドをうまくこなしていた裕介
500

功治のあれが決まっていれば…

100
最後の最後は松田が止める
500
ロスタイムの時間稼ぎ交替は納得
300
何も面白いことしない那須
100
選手紹介で監督の背景が真っ黒なのはいくら何でもひどい
-200
4000

stan

CFの1ゴールを守り切って勝つという、美しいゲーム。守備の不安は上手い選手を並べて不用意なボールロストを減らす事でなんとかやり過ごした。相手の中盤に突出した選手の居ないから通用したとも言えるが、今シーズン初めての腑に落ちる采配は光明。

普通のGK飯倉

300

左右の正しい配置

200

本格派CF渡邉のスーパーゴール

1000
まともな交代
500

完封

1000
勝ち点3
1500
無難だった柏原主審
100
4600

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