malicia witness 2階の目線2009
J1リーグ 09-10シーズン

5月2日 川崎フロンターレ  日産スタジアム

腰痛で中盤のリンクマンである谷口が欠場、守備の要の伊藤が骨折で欠場、チャンピオンズリーグの影響で体力的に大きな負担、前節は活躍した矢島が機能しないなどなど、フロンターレには誤算が多かっただろう。トリコロールにとっては幸運だったわけだが、それは勝利を賞賛するにおいて、なんらマイナス材料ではない。見事な、本来であれば2−0で完封勝利となるはずの試合内容だった。

強風(といっても日本平や瑞穂ほどではない)の影響でゴールを脅かされる立ち上がり。
「あら、やっぱりツートプだね。」
自分はぶれていない、ということを強みと自称しているコーキチだが、坂田を先発起用した名古屋戦からは、ピッチ上はツートップとなっている。しかも、この日は試合の流れの中で、フォワード登録されている山瀬が狩野と入れ替わって中盤の底に下がっている時間帯までもある。

「あれ、けっこう怪しいぜ。」
井川と寺田の間にロングボールを浮き球で入れると、フロンターレの守備陣はほころぶ。坂田や山瀬のスピードに怯えながら、ハイボールの処理がおぼつかない。

すっかり格上となったフロンターレに押されている。そんな中で、小宮山の強烈なシュート、そして渡邉のドリブル突破からのシュート(鹿島の教訓か切り返さずに放った)で反撃。その倍返しのように、左のジュニーニョからのクロスを矢島、続いてコーナーキックを折り返してジュニーニョ。
「フリーじゃないか!」
「しっかり守れ!!」

クナンがクリアボールを前線に送る。オフサイドか?いや、二列目から走り込む山瀬。
「撃て!」
「おーーーーーーー!!!!」
振り抜いた右脚から放たれたシュートは川島の足下を突き破りゴールネットを揺らす。あまりに鮮やかなシュートにスタンドは縦に横に大揺れ。絶叫に次絶叫と突き上げる拳と合わせる手のひら。

「さっきから思うんだけど、森がずっと味方だな。」
クロスの精度が低い、疲れているせいか走らない、守備をさぼる、パスをプレゼントしてくれる、それでは敵とは思えない。
「そのうちイライラして何かやるぜ。」
森は最初からさぼりすぎだが、暑さのせいか、両チームとも運動量が少ない。

急に訪れたピンチ、松田が痛む。

矢島と交錯し、無理な体勢でのスライディングの際に松田が腰を痛める。
「ヤバいぞ。」
「腰だぞ。」
「どうだろう。」
松田がピッチの外に出る。
「どうするんだ?」
「誰が控えにいる?」
「いや、単に裕介をストッパーに下げれば良いんだろ。」
「あつ、そうか。単純にそうすれば安心じゃないか。」
最終ラインをカバーするのは裕介。右ウイングを離れて本来の左ストッパーの位置で守備を固める。試合再開。
「F・マリノス!F・マリノス!」
右から左から猛攻を受け声援を必死に送る。どうやら松田はダメらしい。代わってピッチに入るのは小椋。
「おいおいおい、ボランチじゃないのかよ。」
「え〜最終ラインに入れるのかよ。」
「心配だなぁ。でも、こうなったら小椋頑張れ。」
「頑張ってもらうしかない。」

突破に追い抜かれ寺田が後ろから手と足で渡邉を倒す。狩野のフリーキックを川島がギリギリでセーブ。渡邉のオーバーヘッドが中澤へ。ワントラップしてシュートへ。
「撃て!!」
「中澤!!」
目の前には大きく広がるシュートコース。絶好の追加点のチャンス。しかし、目の前に披露されたのはゴールではなく豪華な空振り。
「マジかよ。」
皆で頭を抱える。
「なんとか前半に追加点がほしいな。」
「1点じゃ安心できないぜ。」
「後半途中からチョンテセを入れてくるだろ。」
「いや、後半頭から外人4人体制にしてくると思うよ。」
「小椋のところも突いてくるだろうから、どうしてももう1点ほしいよ。」
その会話とは逆にフロンターレの攻撃に押し込まれる。ただ、幸い、ジュニーニョは押さえているのではなく、早くも疲れているようだ。

「行くな!」
「なんで前に行っちゃうんだよ。」
ボールを奪うと小椋はぐんぐんと前に走り込んでいく。リターンのパスをもらいにいく。
「行くなって!下がってろ。」
小椋は追加点を狙って攻撃的にプレーしているつもりだろう。しかし、無鉄砲なタイミングでの攻撃参加に恐れを成して、小宮山が最終ラインへ下がる。これでは、結果的には攻撃力の低下だ。残り時間は、あと僅か。追加点は欲しいが、攻めに出て逆襲をくらい失点してしまうリスクもある。選手交代は、攻めるか、守るか、どうするのか。

タッチライン際、自陣で山瀬がドリブル。森をかわし、ラインを割りそうになりながら割らずに縦へ進む。そしてスペースへスルーパス。急にスピードを上げた坂田が寺田を追い抜く。掴んででも止めたいと思った寺田だろうが、すでにペナルティエリアの中。しかも、先ほど渡邉を倒した際にカードをもらっている。追いすがりながら前へ倒れる寺田を尻目にあざ笑い、出てくる川島を浮き球でかわし、坂田がゴールに叩き込む。
「すげー!!」
「やった!!」
1点目を超える衝撃のゴール。喜びに跳ね、仲間と抱き合い、さらには突き飛ばす。バランスを崩して前の座席に倒れそうになる。今度は背中を下から押される。欲しかった追加点を、ロスタイムに鮮やかにゲット。理想的な試合展開はスタンドを興奮の坩堝と化す。シュートが決まって坂田が走り去る後に、2人のディフェンダーが無惨に芝生の上に倒れ込んでいるビジュアルが、また美しい。

興奮の冷めぬままに前半を終了。
「いやー、すげぇ。」
「坂田偉い。」
「凄いゴールだったなぁ。」
「坂田らしいゴールだったねぇ。」
「でもここからだぜ。後半のフロンターレは怖い。」
「絶対に頭から外人4人だろ。」
会話が弾むハーフタイムはあっという間に終わる。

後半が始まる。後半頭から投入されたチョンテセの突破。折り返しをヘナチーニョがシュート。
「助かった!」
「やられたかと思った。」
「いきなりかよ。」
「ヤバいな、4人フォワード。」

後半もスピードでカウンターを狙う。

最大のチャンスは左からの坂田のクロスを左脚で放った渡邉のシュート。
「フリーだ!」
「撃て!!」
「何で!!!??」
ボールは川島の頭上。コースが甘く弾かれる。
「なんとか決めてくれよ。」
しかし、スタンドの雰囲気が気持ち良い。2点差のリード。詰まった客席。ゴール前のシーンが多い試合展開に応援の声を自然と力が入る。フロンターレにとっては、思うようにいかない苦しいゲーム。おそらくチャンピオンズリーグの影響もあって各選手のコンディションが良くない。ジュニーニョの意気が上がっている。ヴィトール・ジュニオールも動けない。いや、途中交代で登場した選手以外は足が止まっている。そこで、ささいな交錯。ジュニーニョが副審に猛烈な抗議。
「いいぞ、文句言え!」
「いや、お前じゃない、森が言いに行け!!」
前半はクナンを翻弄して突破を繰り返していたジュニーニョだが、後半は動き出しのスピードが落ち、ついにクナンが吹き飛ばす。フロンターレサポーターは「ファールじゃないか」と騒ぐ。ホームゲームらしい良い流れだ。相手は冷静さを失いつつある。

ついに哲也をベンチ外に追いやった飯倉がチョンテセの決定機を至近距離で2本止める。大ピンチの回避に、さらに盛り上がるスタンドさらにゴール前にボールを送り込まれる。ここは耐える時間だ。今度は狩野のにファール。ゲームの流れが一気にフロンターレに流れる。先ほどまでの良い流れは断たれる。
「ここは凌ぐしかない。」
幸運だったのは、フロンターレの足が止まってしまったこと。ボールが動く距離は小さく、相手を潰しやすい。小椋もスライディングタックルを連発。

再び坂田にボールが入りドリブル。
「撃て!!」
コースを狙ってコントロールされたシュートは川島の好セーブで弾き出される。その直後に森が必殺技を繰り出す。渡邉が倒れる。
「馬鹿やろう!森だぞ!森!」
「森なんだから悪いことやってるに間違いないだろうが!!」
「肘撃ちやってるぞ!」
「森は、あの肘撃ち連発で仙台をクビになってるんだぞ!!」
「京都でもだぞ!!」
「お前、味方なのに、なんで肘撃ちなんてするんだ。」
しかしカードは出ない。スローインに変わる。そこでスタンドからは絶大なるブーイング。

トリコロールは狩野に代えて水沼。狩野がカードを持っているため退場を回避する意味もある。残り10分間で攻めの意識を失わず、トップ下からゴールを狙う。

カウンターでゴールを狙いながら、このまま逃げ切れるかに思われた試合を残り5分から苦しくするのは、またも選手交代。
「ここでコーキチ劇場かよ。」
「この局面でアーリアはないだろ。」
「勝ってるっていったって2点差だぜ。」
「柏戦のこと忘れてないだろ。」
フロンターレが最終ラインで自由にボールを動かしゴール前にボールを送り出してゴール。

アーリアが悪いのではない。

使い方が悪いのだ。親心が子どもを追い込むかのような悪い状況。これでフロンターレは勢いを増すだろう。心理的な問題ではない。采配そのものが道理にあっていないのだ。前線にいる存在そのものがプレッシャーとなっていたトリコロールのエースがピッチを去り、フロンターレのディフェンダーや中盤の選手は、どんどんとゴール前に押し掛けてくる。あっという間に失点する。
「さっきまでは坂田と渡邉が揃っていたから裏を取られたくなくてフロンターレの守備の選手は前に出て来れなかったんだよ、ボランチも。それが、いなくなっちまったから、ガンガン前に来るじゃないか。アーリアもあんなポジションにいても攻めも守りも役に立たないんだよ。入ったならセンターサークルのところにいるとか、もっと役に立つ場所にいてくれないとダメだ。」
「これじゃ、アーリアは潰れちまうぞ。」
「なんとしてでも逃げ切ってもらわないと困る。」
アーリアは、どのような指示を受けていたのだろう。

相変わらずコーナーでのキープは時間を消費することが出来ない。

確かに自陣ゴールからは最も遠い位置にボールを置くことで安全ではあるが、時間を使うのであればパスを回した方が遥かに有効だ。フロンターレは必死の攻撃でゴールを強奪に来る。しかし、長いロスタイム3分を耐え、試合終了のホイッスル。前節に続いて最大音量の大歓声が勝利の喜びを破裂させる。

新横浜プリンスホテルの建物のロードサイドにナポリピザを食わせる店がある。ご機嫌な勝利の宴会をすでに終えて、マリーシアメンバーを中心に10名が、この店にやってきた。店内の席には入らずテラス席。レイアウトに少し改良を加えて5名ほどは立ち飲みも出来るようにする。目の前の歩道やガラス越しに見える店内には外国人が沢山。それもそのはず。徒歩3分ほどの距離にある横浜アリーナでは世界卓球が行なわれている。赤と緑のジャージに身を包んだラテン系の男性が前を通れば
「ポルトガル?」
「フィーゴ!!!」
「ロナウドー!!」
ドイツ人が通れば
「ドイチュラーン!ドイチュラーン!ドイチュラーン!ドイチュラーン!」
と歌う。そして、日本選手もさりげなく通る。なぜなら、この新横浜プリンスホテルが選手達の宿舎になっているからだ。水谷隼くんに
「勝った?」
と声をかけると、笑顔で首を傾げられる。
「え〜っ。」
どうやら負けたらしい。
「あっ、愛ちゃんだ。」
じゃれ合うように小柄な女の子が仲良さそうに歩いてくる。福原愛ちゃんと平野早矢香ちゃんだ。
「愛ちゃーん、頑張ってねー。」
「頑張れよー!」
「頑張れー!」
「俺も自分なりには頑張っているから。」
唐突に大声でK林さんが告白。みんな爆笑する。愛ちゃんも早矢香ちゃんも爆笑。勝利の夜は陽気に更けていく。ゴールデンウイーク、残すはアウエーだ。


今日のポイント

●連勝したがGWの集客には遅かった。
●後半からは見事な守備を魅せ続けた小椋。
●客席のブラジル人家族、なぜかユニの背中にはOGURA。
●守備の安定に大きく貢献する裕介の左サイド。
●坂田はツートップで本領を発揮する。
●微妙な言い回しだった山瀬のインタビュー。


石井和裕

素晴らしい勝利だったが、ほんの少し後味が悪かったのは、あの失点に納得がいかないから。そしてクラブ関係者はGWの集客が振るわなかった原因について真剣に考えてほしい。ここでの連勝は大きい。GW残り2試合は勝つべき対戦相手。一気に4連勝を目指せ。

スピーディー&ファンタジックな坂田のゴール

1200

驚いた山瀬の弾丸シュート

800

ジュニーニョを吹っ飛ばしたクナン

300
坂田らしい後半のシュートとセーブした川島
400

スライディングタックル連発の小椋

100
坂田へのパスの前の山瀬独特のドリブル
200
飯倉の好セーブ
200
チョンテセのシュートへ向かう姿勢
100
中2日での仲間との再会
500
コーキチ劇場
-500
世界卓球で国際化が華やかだった新横浜の街
1000
4300

なかむ〜

得点はいずれもよい時間帯だったけれど、あまりにも早すぎたのか、ベンチが(余計な)交代を我慢できなくなってしまったのは誤算(いや、予想できたけど)。

勝利

1000

家族観戦で勝利

500

坂田の坂田らしいゴール

1000
山瀬兄の豪快ボレー   
1000

小椋のスタイルがハマったパスカット

500
金、ジュニーニョを完封
500
よりCFらしくなってた渡邉
500
でも、あれは決めないと
-300
慣れないポジションへの起用で頑張る狩野
300
5000

stan

落ち着かないゲーム。山瀬兄のゴールの後に松田の負傷交代。ざわめく気持ちを坂田のスーパーゴールが救ってくれた。流れが悪くなろうが、GKがイエローもらってようが相手のラフプレーが目立とうが、交代枠3人を使いきり、失点して無駄にスリルを増幅する采配の中、勝利出来たのは大きい。

好天

100

赤ちゃん休憩室

100

山瀬兄の「らしい」ゴールとアシスト

1000
松田の負傷
-1000

坂田の高速テクニカルゴール

1000
本格派CF渡邉
300
CB起用で色気を出さない小椋
400
これなら当分飯倉で良い
400
兵藤の献身
400
左右の配置は継続すべき
200
勝ち点3
1500
ラフプレーに寛容な東城主審
-200
4500

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GWらしく、今日も、福岡、島根、長野などからの遠距離参戦も多数。のつくん(日本海の超人)は2日間の東北花見の旅から日産スタジアムへ戻ってきた。そして、試合後に京都へ旅立った。


ハラハラドキドキの辛勝に喜びも倍加。眼下の選手達に賞賛の拍手を贈る。


即席の立ち飲みバールを造って飲む。目の前には卓球の各国選手達が通る。
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