| malicia witness 2階の目線2009 | |||
| Jリーグ ヤマザキナビスコカップ 予選リーグ 5月30日 大分トリニータ ニッパツ三ツ沢球技場 オフサイド崩れでボールは松田のところへ。まさに息をのむ一瞬。松田はダイビングヘッドでボールのコースを変え、ゆっくりとボールはゴールラインを越えていく。直線のコーナーキック判定に不満を持つ西川ら大分の選手達は副審への抗議を叫ぶ。主審の扇谷さんがイエローカードを示すとき、すでにトリコロールの選手達はボールを運び、自陣で逆転の準備をしている。 同点ゴールに突き上げた拳。しかし、1分後には力なく膝の上。勝たなければならなかった。そして勝てる試合だった。今年、コーキチは三冠を狙うと言ったものの、実際に獲得を出来るとすればナビスコカップが最も可能性の高いタイトルだ。そのタイトルが遠のいていく。試合数が少ない他チームがあるため、実質的には5位。残り試合は2試合。そして2位抜けまでしか許されない。ここで失った勝ち点2は、タイトル奪取の確率が20%以下に落ち込んだことを意味する。 立ち上がりから大分のディフェンスに力がなく自由にボールを展開することができた。特に小椋は、中盤の底で緩急を付けて両サイドにボールを配給し、攻撃の要に。 「小椋は今シーズンで一番の出来じゃないのか。」 上々のスタートだが、そのムードも15分近くまで。徐々に試合は膠着する。山瀬と坂田がタッチライン付近にポジションを取ることが多く、攻撃時に選手同士の間隔が広い。だからテンポの良いパスが繋がらない。ダイレクトパスが少ない。さらに、サイドに複数の選手が寄ると、両サイドバックの上がるスペースがタッチライン際になくなることが何度も見られる。そこで、特に小宮山は迷う。行くべきか、行かないべきか、それとも中に走り込むべきか。スリートップの戦術は、そう簡単に浸透するわけではない。 「スリートップが簡単ならば、ファンファール(オランダ人監督)は、もっと温厚になっているよ。」 「ファン・バステンみたいなヤツが真ん中にいるなら話は別だけどな。」 試合が動かなくなると飲みすぎになるK林さんが我慢できずにトイレに向かう。 そんな状況を打開したのは狩野、山瀬、坂田の連携。狩野のパスを受けて山瀬が得意のドリブルで持ち込む。逆サイドからゴール前に坂田が走り込む。坂田の動きにつられて西川はクロスの選択肢が頭をかすめ、ポジションを前にとる。そこを山瀬が見逃さず、ニアサイドの狭いコース(といっても西川のミスといって良いほどニアサイドのコースを空けていた)を打ち破って先制点。 トイレから戻ってきたK林さん 「いやぁ、トイレに行ったらよう、兵藤のユニフォームを着て酔っぱらったイングランド人がいたんだよ。俺と行動が一緒だった。」 まずはリードで前半を終える。 「後半はシャムスカは小宮山のところを突いてくると思うんだよ。だから早めに追加点を入れておかないと。」 「リードして、今回も天野参観日ということで。左に田中を回して小宮山を休ませよう。」 「でも天野は10分しか持たないからな。」 「あれは、俺たちが煽りすぎたからだろ。」 動きの鈍かった小宮山。疲れのせいなのか、戦術に馴染んでいないせいなのか、いずれにしても、ワンボランチの小椋と小宮山の間をどう押さえるかは後半のポイントだ。 そして運良くPKで追加点。再三、サイド攻撃によって大分ゴールを脅かした結果が出たとも言える。ただ、試合はここからだった。 「さっきから、リードはしているけれど、けっして良いサッカーをしているわけじゃないぜ。どちらかというと、やっぱり大分の方が質の高いサッカーをやっているんじゃないか。」 「明らかに大分のサッカーの方がやろうとしていることは上だろうね。ただ、いかんせん選手が下手。」 「でも、このまま続けているとやられるぞ。」 「サッカーの良い悪いじゃなくて、とにかく勝たなきゃならないんだよ。」 すぐに1点を返される。これで、天野投入の選択肢は消える。 「いやぁ、マズい。中盤の守備がスカスカ。大分じゃなかったらやられるぞ。」 「選手がドン引きしちまってるじゃないか。」 コールの声に力が入る。しかし、一方で頭の中で選手の組み合わせをいろいろと考えても答えが出ない。 「これさぁ、いろいろ考えたんだけど、状況を打開するコレって選手交代を思いつかないよ。」 「俺も考えたけどそうなんだよ。」 中盤の守備をどうするか、そして小宮山のサイドを再三アタックされていることをどうするか。 「ここで、あえて選手交代でなんとかしようと考えれば、俺は兵藤に代えてアーリアだと思うんだ。もしくは狩野に代えてアーリア。でも、それはかなりのリスクだよ。いくらコーキチでも、ここでのアーリア投入は迷うと思うんだよ。」 「今、この状態で若いヤツを入れるのは怖い。そこまで信用できないよ。」 選手層が薄いのは大分だと思っていたが、実際に選手交代の駒がなかったのはトリコロールだった。深谷と前田が投入される。 「なに、前田がいたのか。」 その前田に決められて逆転を許す。 こうなれば、何が何でも攻めるしかない。ピッチ上は裏を狙うのかアーリークロスを放り込むのか狙いが不明瞭な混乱状態となっている。それでも時間を無駄に使うことなく、ただただゴールに向かっていってほしい。ゴール裏中央はチャントを歌い跳ね続ける。ゴール裏の両サイドは、叫びに変わる。一つ一つのプレーにウワっという歓声が上がり、落胆の声が響く。そんなスタンドの目の前で、松田が決めてくれた。やっぱり、最後に頼りになるのは松田だった。 「コーキチが・・・」という声と「ここでコーキチに何が出来るんだ・・・」という声。様々な意見がスタンドに居残る。それにしても、なぜ大分を相手に、あそこまで引いて守ろうとしたのか、その原因が理解できない。あれではジェフ以下だ。中澤が抜けただけで、ここまでチキンなサッカーになってしまうのは何故なのだろう。誰もが納得のいかない引分けに、虚しさというよりも情けなさが心に漂う。 私たちがトリコロールと時を刻む日々は元旦まで続く。 今日のポイント ●やることがなかった宏太と学。 |
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