malicia witness 2階の目線2009
Jリーグ ヤマザキナビスコカップ 予選リーグ

6月7日 大宮アルディージャ  Nack5スタジアム

この日のサブメンバーは、秋元、天野、金井、田代、アーリア、宏太、学と全員がユース組で占められた。先発メンバーにも、飯倉、勇蔵、坂田と3人のユース組が名を連ねる。J1の中でも、横浜はユースからの昇格が多いと言える。一方で、必ずしもユース組が育っていない現状もある。

前節で勝ち試合を引き分けた横浜と、0-7で大敗した大宮。大敗後のチームとは正直やりにくい。ただでさえ相性が悪い大宮、しかもアウェイ。大宮のゴール裏に「8-0で勝て」などという横断幕が出ている。得失点差を取り戻せということなのだろうが、現実的ではない要求だ。横浜にしてみれば、贅沢は言っていられない。1-0でもいい、とにかく勝つ。そして最終節の結果を待つ。0-1だろうが0-8だろうが、あるいはドローでも、ジ・エンドとなる。

前日から一転、猛暑に見舞われたNACK5スタジアム。メインスタンドの一部を除き屋根はなく、スタンドにいるだけでも倒れそうだ。キックオフは14時。こんなコンディションでも選手は試合をしなければならない。立ち上がり、両チームとも動きが少ないが、この暑さでは序盤から飛ばしたら後半までもたないのだから、文句は言えない。決勝トーナメント進出に向け、双方とも負けられない。

徐々に大宮ペースとなった27分。左サイドを藤本に切り込まれ、シュートを打たれる。飯倉が弾くが、こぼれ球が松田の足に当たってしまう。何てことだ、オウンゴールで先制を許した。松田を責めることはできない。吉原、小林大、小林慶と天敵と言える選手がことごとく移籍していったが、まだ藤本が残っていた。大宮としてはしてやったりの先制点。過去を振り返ると、大宮の勝ちパターンなはずだった。

しかし、わずか4分後の31分。渡邉のミドルシュートを大宮GK高木が弾く。珍しく功治がダイビングヘッドで押し込んだ。ダイビングヘッドだったことは後で知ったが、失点直後の同点は大きい。功治は好調を維持している。そして先制点に繋がった渡邉のミドル。あくまでシュートを狙う、ストライカーとしての習性が生んだゴールだ。ロスタイムに入り、今度は渡邉が決めた。どうだ、この勝負する姿勢を見たか、坂田よ、ユース組たちよ。

ハーフタイムには売店に大行列ができ、飲み物の入手は早々にあきらめる。広島は新潟相手に着実にリードを広げていた。もう得失点差は関係ない、とにかく勝ち切るしかない。そのためには1点差では心許ない。

後半に入り、前半よりは涼しくなった。さあ、3点目を狙いに行くんだ。大宮の足は止まりつつある。ところがなかなか入らない。22分には逆に決定的なヘディングシュートを打たれた。やばい! しかし、飯倉が横っ飛びで右手一本で弾いた。このプレーが大きかった。

31分、待望の3点目は何とも締まらない形でもたらされた。大宮GKのクリアは直接狩野の足元へ。すかさず蹴ったボールは、飛び出していたGKをすり抜けるようにゴールに吸い込まれた。スピードもなく、触れそうで触れない何とも嫌らしい弾道だ。狙ってこんなコースに蹴ったのなら、狩野はいい性格をしている。

それにしても大宮の出来がひどい。GKは下手すぎる。マトは足元が弱いことがばれてしまい、見掛け倒しもいいところ。3失点後は完全に意気消沈し、セカンドボールは横浜が拾い放題。こうなると、横浜サポーターの興味は追加点を奪えるかどうか。

16分には坂田に替えて宏太、24分には渡邉に替えてアーリアと、既に2人のユース組が投入されていた。3点目を決めた狩野も33分に田代と交替。大宮はマトを前線に上げるという、どこかで見たような戦法に出た。DFなのに守備は弱いマトだが、点は取っている。しかし、これが横浜の思う壺で、カウンターから山ほどの決定機が生まれる。

チーム全員、狙いは宏太。宏太への決定的なパスが4、5本は出ただろう。その度に、ビジター席全体が揺れる。しかし、もっと早く打ってしまえばいいのに、大事にする意識が強すぎたのかすべて防がれてしまった。試合終了。心なしか、試合直後のビジター席には、勝った満足感より宏太が点を取れなかった脱力感が漂っていた。3点目を奪った時点で、勝利は決まっていたのだから。

結果的に、4点以上を奪っていようが浦和と広島の結果待ちであることに変わりはなく、大勢に影響はなかったわけだが、敢えて言いたい。宏太よ、どうして1点も取れなかったのだと。この点に関して監督のコメントはもっともで、何としてでも点を取り、アピールしなければならなかったのだ。就任以来コンディション重視と言ってきた監督だが、最近は先発メンバーが固定されつつある。次がある保障はないんだ。

同じく途中出場したアーリアにも触れておきたい。無難というかおっかなびっくりプレーしているような印象があったアーリアだが、この日は生き生きとプレーしていたことが嬉しかった。前で使えばアーリアの技術は生きる。ただ、自分で点を取るより宏太に点を取らせようという意識が強いように感じたが。

何はともあれ、過酷なコンディションの中、できることをやり切ったチームには素直に拍手を送ろう。決勝トーナメント進出の条件は、最終節で浦和が引き分け以下か、広島が破れること。行ければラッキーだが、行けなくてもやり切らなかった後悔だけが残るよりはずっといい。

「人事を尽くして天命を待つ」か、「果報は寝て待て」か。希望は繋がった。



今日のポイント

●大雨か暑いか両極端なNACK5。
●オウンゴールの尾を引かない松田の貫禄。
●光る兵藤と小椋の運動量。
●勝敗を分けた両チームGKの出来。
●宏太大会で盛り上がる終盤。
●渡邉はトラメガで何を言っていたんだ。
●毎度ながらリーグとは別のチームの大宮。



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