| malicia witness 2階の目線2009 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| J1リーグ 09-10シーズン 7月4日 大宮アルディージャ Nack5スタジアム スコアレスドロー。試合を終え、ゴール裏に向かって疲労困憊の選手たちを迎えるのはブーイングだった。いつもは厳しい評価を外から指摘されることも多いマリーシアコアメンバーたちも驚くほどに、ゴール裏の広域からはブーイングが響き渡った。 「交代選手!それでレギュラーを奪えるのか!!」 「コータ!もっとしっかり勝負しろ!!」 愛が込められていながらも極めて厳しい声が飛ぶ。アウエーで引分けの勝ち点を得た選手たちにとっては驚きかもしれない。コーキチも試合後の記者会見で「ブーイングはちょっとキツい」とコメントした。しかし、敗戦以上に釈然としないキモチを多くのサポーターが持っていたのは事実。その理由を考えてみると良い。 氷川神社の参道を通り、大宮の駅前に向かう道で、荒んだキモチを落ち着かせるように、お互いに思っていることを口に出す。 「だいたい、今日だって、そうとう審判に助けてもらっていたぜ。」 「ぜんぜん公平じゃなかったし。」 アウエーの不利など感じなかった。そんな恵まれた環境の中で、相手を舐めてかかって手痛いしっぺ返しを食らったことに納得がいかない。汚いファールを連発し、主審の温情で11人を保持して引き分けたことは、負けに等しい。ただ、大事な勝ち点1はもらっておくことにしよう。 試合前はご機嫌。やっとチーム状況が上向きになってきた。勝てるサッカーとなったし、観客席を沸かせるサッカーにもなった。苦手の大宮が相手ではあるが、今日こそは勝つのでは、と期待が大きい。 「このスタジアムって試合前の選曲が良いよね。」 「そりゃそうだよ。だってNack5だぜ。」 「あっ、そうか。」 試合が始まる。バイタルエリアに簡単に侵入できる。シュートの乱れ撃ち。 「よし!」 「いいぞ!!」 山瀬がクロスバーに直撃シュートを放ち、渡邉と裕介が美しい崩しを演出する。 だが、最初の10分間が,この試合の勝負だった。あのゆるゆるの時間帯にゴールできなかったことが、紙一重で勝ち点2を逃した。ゲームは徐々にこう着状態に陥る。 大宮のツートップは石原と藤田。いずれも昨年はJ2が闘いの舞台。しかし、今では屈指の日本人ツートップとなっている。この2人の良さはボールのない時のフリーランニング。ボールを引き出す動きだ。特に、試合が止まると、彼らの献身的な動きは大きな武器となる。一方、トリコロールの守備は、徐々に緩くなる。松田は石原を倒し、ボールを腕で抱えたままに倒れた石原に股がって仁王立ち。手を差し伸べて謝ってる風だが、それは、どう見ても格下への威嚇の姿勢だ。 「まずいな、完全に舐めている。」 「この流れは、負けパターンだぞ。」 トリコロールの主導権に終止符を打ったのは「J2」石原のプレー。松田、栗原、中澤、裕介が次々にかわされ、万事休すかと思われた。そのとき、抜かれたはずの松田が身を挺してシュートを止める。ファインプレーだ。しかし、その前の抜かれ方がイージーすぎる。 「なに舐めてるんだ!!」 「しっかりやれ!!」 コールとともに引き締めを求める声が飛ぶ。試合はここまでだった。 ハーフタイムに入る。引き上げていく選手の姿を見ると、どうやら大宮の方が審判の判定に不満を募らせているようだ。 後半が始まる。前半に足を痛めた金澤が下がり片岡がピッチに登場する。 「あれ、やっぱりあいつダメだったのか。」 怪我での選手交代。これが罠だった。単に、怪我でレギュラー選手が退いたと思って後半に臨んだが、どうやら様子が違う。気が付いたときには、完全に大宮に主導権を握られてしまっていた。4−4−2が4−3−3に代わり、中盤サイドの数的優位は解消。がっぷり四つの取り組みは、プレーの判断が早くコンパクトな大宮が優勢。トリコロールのパスは、足下以外に出しようがなくなる。 ボールを奪われる。藤本にボールが渡る。ディフェンスラインの裏を狙われる。その繰り返しだ。 「その徳島県人をなんとかしろ!!」 わかっているけれど、押さえられない。 60分を越えると反則が増える。しかも酷い反則。 「えっ、カード出ないの?」 「黄色で良かった。」 「あれは、怒るだろう。」 そんなファールが続出。 「どっちいっちゃうんだよ。」 選手交代で下がる小宮山はバックスタンド側のタッチラインからピッチを退く。それは、試合の流れを止めずに素早い交代を行なうための選択。だが、驚いたのはその後。小宮山は、なんと大宮のゴール裏側に歩き出したのだ。ベンチに下がるためには、小宮山は敵地大宮のゴール裏スタンドの前と大宮ベンチの後ろを通らなければならない。 「そっちじゃないだろ。」 「疲れて、わけがわからないんじゃないのか?」 「そこまでいっぱいいっぱいだったのか。」 大宮は足の止まっているトリコロールに対して積極果敢に攻めてくる。パスだけでなくドリブルを交え仕掛けてくる。だからトリコロールはファールをしてしまう。 「大宮みたいにドリブルでしかけるとか、なんとかならないのかよ。」 「波戸のところとか仕掛ければファールするだろ。何でやらないんだよ。」 一方のトリコロールはシュートを撃てない。安易なパスを回すばかり。積極的なシュートは、山瀬のヘディング、狩野の左脚くらいだろう。 裕介は退場にふさわしい。 タフなゲームだが、言い訳は不要だ。大宮ベンチ前のスライディングタックルは一発退場でもおかしくない。大宮ベンチのほぼ全員がベンチを飛び出して抗議するのも当然だ。悪質であるし、怪我をしたくないというキモチでいるからできるプレーだ。そして、ロスタイムのファ−ルでカードが出なかったことは奇跡的だ。裕介が悪人面だったら、間違えなく退場だっただろう。 終盤はお互いに攻め合い。絶叫が続き、腰が浮きシュートに飛び跳ねる。熱戦だった。しかし、虚しい。消極的なゴール前での選択。見苦しいファールの連発。勝てなかったからブーイングが起きたわけではない。相手を舐め切ったプレーで酷いゲームをしてしまったことに、皆は不満を表明したのだ。 「舐めたサッカーするな!」 「対戦成績も順位も相手の方が上なんだぞ!!」 その声は、選手たちに届いたのだろうか。 私たちがトリコロールと時を刻む日々は元旦まで続く。 今日のポイント ●マトとハト。 ● 藤本VS松田。 ● PKをリスに止められた試合前のゲスト小柳友。
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