malicia witness 2階の目線2009
第89回天皇杯

10月11日 V・ファーレン長崎  長崎県立総合運動公園

都道府県の代表が一発を狙ってJ1に挑む。
近年、天皇杯の醍醐味として定着したこのシチュエーションを、おそらく狙ったのだろう、こんな早い時期からJ1勢も登場し、第89回天皇杯は2回戦を迎える。既に過去の歴史となってしまった感もあるが、今年も「奪還」をめざす横浜の戦いは、2年ぶりの長崎から幕を開けた。

スタジアムに入ると、なんとなく独特のゆるい雰囲気。殺伐ともせず、J1の有名チームを迎えて、地元でJ参入を目指すトップチーム・Vファーレン長崎がどこまで通用するのかを期待しているような、お祭りのような雰囲気が包んでいた。スターティングの発表では、トリコロールでは兵藤が一番の声援を受けていた。直近の、試合でのスタメンに対して、その兵藤がボランチに入り、中澤不在のCBに松田が回る形でのスターティング。少しは育成姿勢を使ってくるかと思ったら、極まっとうな布陣でスタートとなる。

毎度の気の緩みも見せずに、試合は序盤から横浜ペース。長崎の選手をDFラインに貼りつかせ、一方的にチャンスを作り続ける。ただし、長崎も最後の一線は割らせまいと、地元の声援をバックに守る。数は少ないが、佐藤由紀彦を中心としたカウンターでゴールに迫られることもあり、早めに決めておかないと毎度の展開も心配される立ち上がりとなった。

そんな心配が杞憂に終わったのは、前半も 15 分を経ってから。

左サイドを抜け出した小宮山からのクロスを坂田が決めて先制に成功。これで硬さがとれたのか、試合はより一方的な展開となる。時折、なめたプレーからピンチを迎えることもあるが、これはもう、今年のトリコロールはこんなものと思ってあきらめるしかないのかもしれない。

追加点がなかなか入らない展開で、1-0 で前半終わったらまだ判らないなと思っていたら、いい時間帯に追加点が入る。前半終了間際に、ゴール前の混戦をショートパスで崩し、千真が追加点。2-0 で折り返しに成功。

後半、地元開催で千真が爆発する。

51 分、56 分と立て続けに得点を重ね、公式戦初のハットトリックを達成。地元の凱旋試合、恩師・小峰氏の前で大きな結果を出した。点差も4点となり、何か間違いがあっても試合の結果は動かないだろう。あとは、ベンチがいかに下手な手を打とうとも、安心して見ていられる。

そのベンチも、天皇杯では手堅く手を打ってくる。坂田・狩野に代わり、投入されたのは山瀬と、怪我から復帰した清水。特に清水は、全体的に運動量が落ちてくる時間帯で、効果的に顔を出し、ボールをきちんと繋いでいく。
「やっぱり清水上手いなぁ。いいとこに顔出すよねぇ。」
「でも大事な2点のうち、1点を使っちゃいそうな・・・」

若手の無謀な起用を何度も目の当たりにしてきたが、やろうと思えばこういう手堅い采配もできるのだから、これをリーグ戦でもやってほしい。そして一方で、今日みたいな試合で若手を試さないでどうする、とも思ってしまうが・・・。

残り15分で河合が小椋にかわり、いつもは交代が多い千真・兵藤は地元枠でフル出場決定。こうなると、得点を上げたい兵藤が前目に入り、回りも兵藤にボールを集め気味になる。後半を通じて何度かチャンスもあったが、決めるには至らず。まぁ、これも兵藤らしいといえば、らしいのだが。

終わってみれば 4-0 の圧勝。今年の天皇杯は無難な滑り出しとなった。

余談ながら、試合後、昇格を逃した V ファーレンの選手は、クールダウンもそこそこに、コンコースでスタジアム改修の署名活動に参加していた。諫早の競技場が改修となるため、長崎市の陸上競技場の改修を求める署名活動とのこと。そこを一番頑張るのはクラブスタッフとサポーターなので、なんとか頑張ってほしい。

帰りの車中、次の相手が地域リーグになったことを知る。元旦国立を目指す、難敵相手のトーナメントはまだまだ続く。



今日のポイント

●千真の凱旋ハットトリック
●声援は大きかった地元・兵藤
●J2下位でもまだまだ通用するだろう、由紀彦
●待機列をそのまま縦列駐車させる効率的な駐車場管理


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