malicia witness 2階の目線2011
J1リーグ 11-12シーズン

5月28日 ベガルタ仙台  ユアテックスタジアム仙台   (石井和裕)

新幹線で仙台に向かう。駅で出会うトリコロールの仲間たち。それはいつもの風景。しかし車両に乗り込むと、少し雰囲気が異なる。隣の席の女性は、左手にグリーンのラバーリングを巻いている。ボランティアネットワークのリングのようだ。始発の新幹線は指定席残席わずか。被災地支援の人々が沢山乗り込んでいるのだ。

福島が近づくと、車窓の風景に変化が。しかし、それは一ヶ月前にこの地を訪れたときと同じ風景だ。屋根に重石とブルーシートをかけた家屋が目立つ。もう震災から2ヶ月半。されど、まだ普通の生活は戻っていない現実が垣間見える。それでも、田は水で潤い曇空を映しだしている。私たちは生きている。止まることはできないのだ。

仙台駅で仲間と合流し津波で被害を受けた保育園に向かう。サッカーボール、知育玩具、ボールハウスなどを届けるのだ。保育園から海への道は荒野の道。津波の傷は、まった癒えていない。そんな現実を心に刻み、スタジアムへ向かう。

スタジアムへ入ると異変を知る。いつも仙台といえば満員のスタジアムだ。しかし、いつまでたっても埋まらない。バックスタンド、メインスタンド、ゴール裏にも空席が目立つ。これは、とても残念なことだ。しかし、仙台市民の多くはスタジアムに足を運ぶことができないのだ。

試合が始まる。ボールが回る。歓声が沸き起こるが、どこかおかしい。仙台の守備は、ここまで緩かったのか。右サイドバックの菅井25番は、なぜ上がってこないのか。恐らく守備を重視して仙台は慎重にゲームに入った。結果的には、これにやられた。序盤の緩さに油断があったに違いない。

その隙が失点を生む。

左サイドバックの偽パクチソンからクロスが入る。取れるように見えたが飯倉は見送る。ゴールラインを割るとおもたのだろう。まさかとは思うが、大外にいた菅井を見落としていた可能性もある。これは完全にミスだった。菅井の足元にボールが入り飯倉が焦った表情を見せる。折り返されたボールは棒立ちのディフェンダー陣には跳ね返すことが出来ず、簡単に赤嶺がヘッドでゴールへ。

「いやーミスだった。」
「あれはないだろー。」
しかし嘆いても仕方ない。ゴールを奪うより他に良い結果を生み出すことは出来ない。

序盤はラインが低かった。しかし、10分過ぎから仙台のディフェンスラインは高くなりスペースがなくなる。そして、中央は角田が効いている。こういう試合前に兵藤は向いていない。バランサーとして試合を側面から創っていく木の効いた選手だ。逆に、ボールを持ってからの判断は早い選手では無い。力強いわけでも無い。ボールをうばわれる。

ハーフタイムに対策を話し合う。
「やっぱ兵藤の所が厳しいだろう。」
「俺だったら兵藤に変えて狩野で勝負するな。」
様々な案が出る。

後半の攻勢は・・・気配が無い。仙台の守備はコンパクト。兵藤は苦慮。そして俊輔がボールを持つと2人が前を塞ぎにくる。不用意にボールをうばわれるシーンが目立つ。ゴールを奪われそうになる。だが、闘う気持ちははっきりと見える。ボールを奪われた選手は、自らの責任を全うするために、全力でボールを奪い返そうとする。間一髪のピンチが続く。

同点ゴールは驚きが興奮を倍加する。
「撃て!」
誰もがシュートを要求した。切り替えしたとき落胆の声が上がったことを忘れてはいけない。だからこそ、右足でディフェンスラインの手前にクロスが入ったときに驚く。そして、余りにも力強い谷口のヘッドのフォームで同点ゴールを確信し、ゴールネットが揺れるのと同じくして、私たちの身体も宙を舞う。喜びに絶叫。
「さぁいけ!」

仙台は失点してもディフェンスラインを下げない。前からボールを奪いにくる。しかし、ボールを奪ってから無理な攻撃をしない。リスキーなパスすらしない。ボールを回す。しかし、チャンスと見ればシュートを撃ってくる。
「いやー、仙台はかなり徹底しているぞ。」
まるで強豪クラブのような試合運びだ。仙台は優勝を狙っているわけではない。チャンピオンズリーグにだって出るつもりはないだろう。だから、残留して中位を確保することができれば良い。無理に勝ちにいく必要はない。勝ち点1でも良いのだ。

でも、チャンスもある。
「あの5番は脚が攣りそうだぞ。」
確かに歩きかたがおかしい。しかもパスミスを連発している。
「おい!そこの5番、お前、脚が痛いだろ!なぁ痛いだろ。さっき、脚を押さえててただろ!」

残念だったのは投入されたアーリアのプレーだ。なぜか走れない。走って追えば
「お前、なんでゼイゼイいってるんだよ。」
「途中出場なんだから頑張ってくれよ。」
アーリアは最後まで試合に乗れなかった。

ゴール裏から時計表示見えない仙台では試合は突然に終了する。
「勝てる試合だった。」
いくら決定機のピンチがたくさんあったとはいえ、失点は、あのミス一つだった。序盤に落ち着いてラインの裏を突く攻撃をしたりロングボールを入れたりすれば、違うゲーム展開になったはずだ。残念だ。

国分町の店に仲間が集合する。名物料理を食べながら語る。
「なんでアーリアは、あんなに走れないの?勝負できないの?」
「アーリアは試合数が他の選手より多いんだよ。明日も練習試合だろ。アーリアにとっては明日が本番なんだよ。それで、いつも練習試合で結果を出すからベンチ入りするんだよ。でも、本番では活躍しないんだよね。だから、また練習試合で頑張る。」
「練習試合なんて練習なんだからどうでもいいんだけどねー。」
「勝てなかったけど、去年までだったら、きっと負けてたよね。」
「追いつけるようになったよね。」
「去年だったら、下手したら0-3で完敗でしょう。」
「いや1-3じゃないか?」
「1って何が?」
「ほら0-3かた得点者アーリア。時間、90+2分みたいな。」
「あるなー、それあるよ。」

美味いモノは勝ち点を失った傷を癒してくれる。残念な結果だったが、有意義な遠征だった。国分町の夜は盛り上がっていた。ただ、地元の人は少ないのだそうだ。ボランティアや復興事業で仙台を訪れた人ばかりが呑んでいるのだそだ。国分町に地元の人人が溢れるときが来たら、スタジアムも満員となるだろう。今日の試合を見れば、恐らく仙台は残留するだろう。来年は、満員のスタジアムで闘いたい。


今日のポイント

● 見事すぎる手倉森采配。
● 低い位置に終始しした俊輔。
● 代表の貫禄が出た関口。
● いらいらした最後の俊輔頼み。
● アウエースタンドも混雑せず。









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