malicia witness 2階の目線2011
Jリーグ ヤマザキナビスコカップ11-12シーズン

6月5日 ヴィッセル神戸  ニッパツ三ツ沢球技場   (石井和裕)

残り時間は少ない。ゆっくりと試合をクローズさせればよい。ホームでの第一戦を完封勝ちすれば、アウエーでの第二戦はスコアレスドローでも次の試合に進むことができるのだ。だがボールを不用意に奪われる。左サイドの狩野のところにボールが転がる。自陣側に身体を向けてボールを処理しようとする。

神戸の縦への突進はアディショナルタイムに入っても衰えていない。狩野の背後には2人の選手が猛スピードで迫っている。
「来てるぞ!」
「やばい!」
バックスタンドから上がったその声は狩野には届かなかった。狩野の周囲にいる選手から同じ声がかかったかどうかはわからない。背後の敵に気がつかなかったのか狩野はターンする。悲鳴が上がる。
「やられる!」
そしてゴールにボールは運び込まれる。アウエーゴールを奪われ第一戦は終わる。

狩野にとっては、あまりに悲しいゲームの結末となった。俊輔に代わってピッチに入る。第四審判の示した背番号は0。
「おいおい、間違ってるだろ。」
「0ってマリノス君かよ。」
「狩野はマリノス君と交代して、あの椅子に座っちゃうの?」
ちょとしたハプニングから始まった出番。ピッチに入った狩野は力強かった。走り、奪い、急所を突く。闘う男だった。そんな甦った狩野に、なんという仕打ち。スタンドは静かに第一戦を見届け終えた。

それにしても神戸は素晴らしいチームだ。両サイドに敵を誘い込み、奪ったボールを一気呵成にディフェンスラインの裏に送り込む。特に31番の小川は飛び出しのタイミングが絶妙。なんどもピンチに陥れる。とにかく、役割、タイミングがはっきりしていて迷いが見えない。そして、終盤でも動きが落ちない。リーグで上位にいることも納得だ。おそらく第三者が見れば動きの止まらない面白い試合だっただろう。神戸の守備陣は三浦監督時代よりもずっとずっとコンパクトで厳しかった。

青山は強靭な守備で存在感を見せつけ、狩野のコーナーキックをゴールに押し込む。久々にホームに帰ってきた金井は俊輔からサイドチェンジのボールをスペースに送り込まれ見事なトラップでゴールに向かって前へ走る。しっかりと持ち味を見せた。俊輔は厳しい守備陣を相手に抜群なテクニックを見せた、そして力強さも。追いつかれての引き分けという結果を除けば、それほど悪いゲームではなかったはずだ。

残念だったのは、いつも以上に兵藤。だが、この厳しい中盤では力を発揮できないのは、あらかじめわかっていること。むしろ、今日の狩野であれば、兵藤のポジションを奪い取ることができるのではないか。奪われた1点は大きかった。しかし、感じ得た手応えも大きかった。新たな戦力、甦った実力者、前にポジションを戻して来た俊輔・・・期待が膨らむ。


今日のポイント

● 目の前で羽交い締めしていても旗を振らないバックスタンド側副審。
● 引っ張るんだったら引きづり倒してくれよ俊輔。
● 神戸のセンターバックは弱かったが、なぜか攻撃は外からに。
● はとぽっぽ対決は実現せず。
● 中東スタイルを取り入れていた神戸の応援。










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