malicia witness 2階の目線2011
J1リーグ 11-12シーズン

9月18日 ガンバ大阪  日産スタジアム   (石井和裕)

本来であれば、ここまで打ちひしがれる状況ではないはずだ。だが、ガンバとの直越対決は「完敗」と大差ないダメージを私たちに与えた。最後の30分間はゲームのコントロールを相手に委ね、何もできなかったと言っても過言ではない。選手は全力でプレーし続けた。だが、全く歯が立たなかったのだ。35000人を超える大観衆は、足早にスタジアムから姿を消していった。

試合前のMcafeでの会話。双方の弱点は明白だった。
「ガンバの左サイドバックはキャリアが浅いし、前節は『判断力に難あり』という評価だった。ここが穴であることは間違えない。」
「前節と同じスタメンだから、そこをアーリアが、どれだけ押し込めるかが重要だね。」
「ガンバは必ず金井のところを狙ってくる。金井に頑張ってほしい。」
「金井に頑張ってほしいのはもちろんだけど、ガンバの弱点を突いて押し込んで、金井のサイドのプレッシャーを軽くしてあげることも重要だよ。」
「お互いに左サイドが弱点だね。」
「金井のサイドを守るためにも、アーリアが前節のような高い位置でワイドに仕掛けてほしいね。」

そして、予想通りにガンバは金井のサイドを狙い撃ちしてきた。イ・グノは、あるときはサイドに開き、あるときは金井の内側に立ちポジショニングで揺さぶりをかけてくる。再三、金井の背中側に立つ嫌らしさ。そして、ドリブルの切り返しで、金井が何度も置き去りにされる。対するトリコロールも中央で起点を創る。そして、狙い通りに右サイドのスペースにアーリアが走り込んできてスルーパスが送られる。

2階席は、試合開始頃には、アウエー側を除いて完全に埋まる。通路に立ち見が溢れている状況。今期一番の大きな手拍子音が試合開始直後から屋根に反響する。誰もが、今日、ガンバに勝ちにきている。

驚くべき鮮やかなボレーシュートがゴールネットを揺らす。
「兵藤だ!」
「素晴らしい!」
激しく美しい直接的な弾道が一瞬でガンバから一点を奪いとる。しばらくの間、ざわめきと興奮が後を引くほどのインパクトある先制点でゲームの主導権を握ることに成功する。その後は一対一を外した千真のシュートなど決定機を創り出すが、追加点を奪えない。ガンバには強力な控え選手がいるので、追加点はどうしても欲しいのだが。

追加点を獲れなかった前半をハーフタイムで振り返る。千真の動きが重い、金井は途中から落ち着きを取り戻したが一対一は荷が重い、アーリアはとても良い、大黒をどこで投入すれば良いか、などなど良い試合を出来ているが、西野監督がハーフタイムに修正してくるのは間違えないし、早目に選手交代をしてくることも予想できる。

試合を決定付けたのは、やはり選手交代だった。西野監督は左サイドバックの前に13番を投入。守っては嫌なポジションを埋め、攻めては前への推進力を創る。攻守に効果覿面の選手交代となる。これでトリコロールは右サイドからガンバディフェンスを押し込むことが出来なくなる。ガンバはトリコロールからボールを奪う位置が高くなり、全体に選手が押し上げてピッチ全体を掌握する。クリアボールを繋げないトリコロール。木村監督はガンバと同じ二枚替えでツートップをクナンと大黒に交代。しかし、2人の間にコンビネーションはなく、お互いに孤立する。チャンスは中盤の選手のパス交換を経由しなければ生まれなくなる。つまり攻撃のスピードダウンだ。そして、攻撃の枚数が少ない。特に兵藤が絡んでくる機会が激減した。

クナンと大黒が投入されたとき、疑問の声が上がった。
「ここでクナンでいいの?」
「まずは、やられぱなしの左サイドを立て直して、同時に、兵藤が攻撃に参加できるようにすることが先決じゃないの?」
「金井のところを天野に替えるとかさぁ。」
「さっきから兵藤は金井のケアでいっぱいいっぱいだよ。」
「栗原入れてもいいだろうよ。」
「少なくともユウジーニョは残しておくべきなんじゃないの?」

両チームの選手交代が試合の結末を決定付ける。夏までは上り調子だったクナンも研究されている。福岡相手にも良いプレーが少なかった。ワントラップ目でゴールに向けての第一歩を踏み出すことが稀な選手だけに、相手ディフェンダーとしては特徴さえ掴んでしまえば、足元のボールを奪いやすいだろう。楔を受けるのは大黒だけで十分だったのではないか。むしろ、大黒の近くでサポートする選手が不在となったことが悔やまれる。

ショックを振り払いたい、そんな気持ちで、うな垂れる選手をチャントで迎える。引き分けとはいえ完敗に近い結果。だが、考えてみれば、去年、一昨年、先一昨年、この時期に首位決戦を演じるなど考えられなかった。今シーズンでチームは大きく進化した。残り試合は、まだまだたくさんある。勝ち点差も、たったの3だ。
「今日は勝ち点1に乾杯だ!」
いつもの「海ふね」で、仲間たちとビールを飲んで、ショックを胃袋に流し込んだ。


今日のポイント

●攻守に休みなく真面目すぎるガンバのブラジル人。
●計算できる選手になった青山。
●このポジションを極めてほしいアーリア。
●セットプレーを蹴れないコンディションの遠藤だが最後は走っていた。









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