malicia witness 2階の目線2010
J1リーグ 10-11シーズン

5月1日 ジュビロ磐田  日産スタジアム   (石井和裕)

普通であれば、坂田の山なりのクロスには「このくそクロス」とか「ばか!」とか声が飛んでもおかしくない。しかも、試合後のインタビューによれば、坂田には天野が見えていなかった。だが、その瞬間、そのような声は一切飛ばなかった。なぜか、何かしらの出来事が、その山なりの先に待っているように思えた。ただし、あれほどに仰天の出来事であるとは、誰も予測していなかっただろう。身長162センチメートルの天野が空中戦からゴール。その瞬間、恐ろしいほどにスタンドが沸き立ち、しばらくの間はざわつきが収まらない。目の前で1点差の緊迫したゲームが進んでいるのにも関わらず、目は大型ビジョンでの再生映像に向いてしまう。
「すげーよ天野。」
「ビックリしたー。」

「攻めろ!」
「もう一点獲りにいけ!」
「あいつから狙っていけ!天野にヘディングを競り負けたヤツだ!」
「絶対に動揺しているぞ!」
途中まではスコアレスドローでも上々なくらいにゴールの気配がないゲームを、尋常ではないインパクトのゴールで先制点をゲット。リードする。ここで、どうしても失点してはならない。この試合を勝てるか勝てないかで、今後のリーグの勢いが大きく変わるように思える。だからだろうか、ここ数試合、ずっと沈黙していたバックスタンンド2階が、ついに手拍子で一つになる。そして、コーナーキックのピンチに、ゴール裏からのコールがない空白の時間にも続くF・マリノスコール。ゴール裏も、それに応える。

残り時間はわずかであるが狩野が登場すると、前がかりになる磐田の攻撃の裏を突いた攻撃に味が出る。この時間帯、ついに3節までの縦に早いトリコロールのフットボールが蘇る。狩野は他の選手が失いつつある、やや無理があっても前へ進もうとする推進力でボールを前へ運ぶ。苦戦だったホームゲームは、見事な記憶に残るゲームとなった。

試合開始早々に、天野がタッチライン際を走る。走る。走る。長い距離を走ってパスを引き出す。
「いいぞ、天野!!!」
「行け!天野!!ガンガン行け!」
今日も、天野参観日。彼が走り出すだけで期待が膨らみ、声援と歓声が沸き立つ。だからこそ、このゲームでの天野のゴールは、スタジアム全体に大きな喜びをもたらした。応援のしがいのある選手だ。そして金井。まだまだミスは多い。それでも、金井の前へ攻めようとする姿勢に好感が持てる。だから声援が集まる。アーリアの登場にも大声援が起きる。

一方、中村俊輔の調子は全盛期の通りには戻っていない。3節までとは違い、簡単に後ろに下げてしまうパスも多い。だが、ドリブルが増えた。後半はプロテクタを外した。復調の気配はある。だから、何本もファールを誘った。ただ、フリーキックが枠に飛ばないんだよね。
「枠に撃てよ。」
「枠にいかないんだったら、せめて那須の顔面に当てろよ。」

磐田、新潟との連戦で、少なくとも勝ち点4が欲しい。まずは勝ち点3を得て、結果は上々。あとは、内容が追いついていくとより良い。しかし、中村俊輔が出場する以上、素晴らしい内容のゲームを望むことは酷だ。監督は「俊輔さん、休んでください。」と、若手選手が奮起することを希望しての起用だと言うが、ベテラン選手が、何から何まで中村俊輔にボールを預けてしまう有様だ。監督の意図は現実には反映されていないのだ。だから、ひとまず、ワールドカップ前の中断までは、だましだましの内容で勝ち点だけを積み上げていくしかない。今は、それで良い。そう考えよう。

次節は新潟戦。やっと初勝利を神戸戦で上げたようだが、意外なことに負け数は少ない。油断は出来ないが、しっかりと勝っておきたい相手だ。次のホームゲームは三ツ沢。今は我慢。


今日のポイント

●見事なジャッジだった家本さん。トリコロールとの相性も良い。
●攻守に積極的な狩野。
●両チーム合わせて枠内シュートは天野の方に当ったシュートのみ。
●そろそろ笑いの賞味期限が切れてきたバスティアニーニ。

[今日の査定]びっくりしたなぁもう。












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