malicia witness 2階の目線2010
J1リーグ 10-11シーズン

9月11日 川崎フロンターレ  等々力陸上競技場   (石井和裕)

試合開始から1分もたたずして、最初のコーナーキックでゴールを奪われる。その後も右サイドの攻撃を止められない。試合に入っていない状況で失点し主導権を奪われる。中盤で奪われたボールは素早くサイドに展開され、何度も数的不利を作られる。

「止めろ!」。
「やらせるな!」
「ヤバい。」
「走らされてるんじゃねぇよ。」
「相手は中2日。こっちがボールを動かして、相手を疲れさせなきゃいけないのに、こっちが走らされてる。」
そうこうしているうちに、稲本にロングシュートを撃たれる。

直後にスローインをユウジーニョが奪う。ゴールに向かってドリブル。後ろから手がかかってファールをもらう。
「俊輔!決めろ!」
「行け!中村!」
フリーキックは、かろうじてフィスティングで弾き出される。天皇杯を休んだ俊輔は好調の様子。期待できる。

序盤はパスが繋がらず、自陣でボールを度々奪われる。特に、河合はゲームに入りきれず、攻守に後手を踏む。逆に怪我が心配された栗原は問題なく、平然とボールを跳ね返している。

タイミングよく送り込まれた天野のクロスにユウジーニョが飛び込む。川崎のゴールキーパー(誰だっけ?)と激突。このとき、膝を痛めてしまい、ユウジ−ニョは後半の頭で交代となる。ユウジーニョの飛び込みのタイミング、天野のクロスの技術が光った一瞬。このプレーで流れが変わる。

日差しの強いデーゲーム。中2日で試合に臨む川崎は、この時間帯から動きの量が落ちる。中盤にスペースができる。そこで栗原のミドル。川崎は、後半の早い時間帯から中村と谷口を投入してくるだろうから、メンバーが入れ替わる前に、ぜひとも同点に追いついておいてほしい。それを誰もが思っている。
「この時間にゴールしなきゃ!」
ところがシュートが枠に飛ばない。溜息が漏れる。だが、それ以上に川崎サイドはいらつき、ノーファール判定を巡ってヴィトール・ジュニオールが抗議。イエローカードが出る。
「いいぞ!いらいらしてるぞ!!」
「おい見ろ!森も抗議に向かったぞ!」
「行け!言え!森!お前の出番だ!」

直後に大ピンチ。

ジュニーニョとの一対一を飯倉が止める。セカンドボールを奪われて撃たれたシュートはポストへ。逆に、次のプレーではユウジーニョが決定機。川崎の動きが落ちていることは間違えない。チャンスは、きっと沢山来る。

案の定、ジュニーニョがゴール前でファール。

「さぁ出番だ。」
俊輔の蹴ったボールは弧を描いてゴールの右サイドへ。ギリギリのところで川崎のゴールキーパー(誰だっけ?)が弾き出す。ここまでは、このゴールキーパーも普通だったのだが、次のコーナーキックで目測を誤る。

右サイドを完全に崩してマイナスに折り返すチャンスがあり、押せ押せの40分台。どうしても前半のうちに追いついておきたい。しかしゴールを奪えない。アウエースタンドもイライラが募る。あっという間にロスタイム。ボールが前に進まず、ますますいらつく。
「前に行けよ!」
「終わっちまうぞ!」。
ところが、急に俊輔から、動き出していた山瀬にスルーパス。ディフェンダー2人に挟み込まれる山瀬が遠くに見える。どうしても欲しい同点ゴールを願う。逆サイドのプレーは、スローモーションのようだ。山瀬は倒れることなく、ボールはゴールに向かって転がっていく。
「やったぜ!」。
「決まったー。」
びっしりと埋まったアウエースタンドが跳ねる。これで、後半は優位に立ってスタートできる。
「俺たちもだまされた。もう攻めていかないのかと思ったよ。」
「まさかのスルーパスだったな。」

完全に動きが落ちた川崎は、後半の頭から2人代えをしてくるのではないか、という声もあったが、ピッチに立つのは前半と同じ22人。期待通り、揺さぶりについて来れない。サイド攻撃で突破する。
「行ける!!」
「ガンガン行け!!」
「早めに逆転しろ!!」

川崎が動く前にアーリア投入の動き。怪我のユウジーニョが交代だろう。と、その前に、中盤でプレッシャーなく兵藤がドリブル。ロングシュートを放つ。コースは悪くない。だが、当然、弾き出されるだろうと思ったボールは、ゴールネットを揺らす。
「入った。」
「兵藤だ、やったぞ!」
「うーおー!!」
続いて、天野のクロス。更にはヘッドが枠を強襲。
「もう一点決めて、試合を終わらせちまえ!」
「止まるな!もう一点、獲りにいけよ!」

山瀬が突破する。俊輔のスルーパスでアーリアがゴールキーパーと一対一になる。しかし、まだ中村も谷口も投入されない。
「行け。」
「撃て!」
「ナイスプレー!」
「そうだ!!」
ゲームのテンポが良いので、スタンドから出る声をリズミカルだ。

トリコロールの選手は躍動している。

完全に崩した。粉々に粉砕した。俊輔からのパスを受けた山瀬がペナルティエリア内に侵入。大きなフェイントでディフェンダーをかわし、シュートと見せかけて中央に優しいパスを送り出す。そこに走り込んできたのは
「兵藤だ!!」
「来た!!」。
「兵藤、2点目だぜ。」
「すげえな、兵藤。」
前の席の白髪のおじさんも、隣の席のメガネのお兄さんも、後ろの席の小学生の兄弟も、一緒に跳ねて手のひらを合わせて歓喜を爆発させる。
「よーし、勝ちはもらったぜ!」

2点差がついてアウエースタンドにも余裕ができる。小宮山にボールが渡るたびに大きなブーイング。やっとお楽しみの時間がやってきた。

そんなときだ、ここで突然の真打ち登場。森が兵藤の後ろから両脚を刈りにくる。森らしい汚いファール。
「馬鹿やろう!」
「汚ねえぞ、川崎!」
「ほんとひでぇな。」
「兵藤が2得点したからって、それに報復って、どういうレベルでやってんだよ。」
腹が立つファールだが、森の存在は等々力アウエーの喜びを倍加させるエッセンスでもある。この人抜きに川崎戦を語ることは出来ない。

この後、試合は疲れ切った川崎が必至に反撃を試みるが、いかんせん脚が動かず、大きな脅威もないままに進む。登場した坂田はゴールヘの気迫を見せられず、期待の狩野は久々に見た正真正銘の宇宙開発をしたくらいしか印象がない。それよりも最後のハイライトは、主審と副審の死角を突いたヴィトール・ジュニールの膝蹴りだ。さらには倒れた天野を気遣って俊輔が蹴り出したボールをスローインして攻めようとする。ここで最後の抵抗の荒れ模様。俊輔は4度にわたってしつようなショルダーチャージを受ける。ところが欧州で、このような絶対に負けてはいけない局面をくぐり抜けてきた俊輔は倒れない。腹に据えかねた河合がずどーんと川崎の選手をスライディングで吹っ飛ばす。
「よし!やったぜ!!」
ゴールでもないのに飛び跳ねてガッツポーズ。ダメだと判っていても心が動いてしまう。河合のスライディングは報復なので、当然、警告の対象。だが、負けてはいけない。

爽快な勝ちゲームだ。しかも、相手は反則、抗議、ラフプレーのオンパレード。久々に、勧善懲悪的なゲームをものにした。中2日の試合日程には同情するが、ラフプレーには同情できない。いや、アウエー勝利の醍醐味を味あわせてくれたことに感謝したい。逆境こそがアウエーの醍醐味。

次は首位の名古屋戦。この勢いを継続したい。ただ、忘れてはならないのが、序盤、川崎のサイド攻撃に、再三、数的不利が発生したこと。名古屋戦の準備を考えるときには、この課題から目をそらしてはならない。さて、何度目の挑戦だろう。今期のチャンピオンズリーグ圏内への挑戦が再び始まる。


今日のポイント

●前半は攻守に小椋が支えた。
●最後尾ならば脚が止まらない松田の活躍。
●小宮山は試合後にコメント無し?
●選手交代が遅すぎた川崎。

[今日の査定]正義は勝つ。












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