malicia witness アジア戦記2005
アジアチャンピオンズリーグ

5月11日 山東魯能秦山  オムラー

8:30 成田空港第2ターミナルビルに試合地、済南へ渡る約120人のサポーターが集結した。このツアーを企画し、添乗員として同行するANAセールスの野村さんから旅行中の諸注意の冒頭に「絶対に勝たせましょう」との力強い言葉が発せられた。ANAも我々サポーターの要望に応じて企画、催行とあって気合が入っている。夕食が試合後になるためカロリーメイトなどを買い込み、出国審査を済ませ、搭乗口へ。

中国行きの便はすべてバスでの移動。機内は満席だが、エコノミー席の9割以上はトリコロールを身にまとったサポーター。チャーター便は叶なかったがマリノスサポーター専用便に近かった。

11時過ぎ飛行機は決戦の地へ向けて飛び立った。機内ではこれから始まる戦いに向けて思いを馳せる人、映画を見る人(映画を見ていた人の多くがShall WeDance ? を鑑賞)、それぞれの時間を過ごす。

現地時間の13時ごろ(日本との時差は1時間)、青島空港へ到着。滞りなく入国し、3台のバスに分乗して、済南へ。空港も現地当局の警備がついている。空港からスタジアムまではバスの前後を警察の先導がありスムーズに目的地へ向かう。空港では密着取材するというテレビ朝日のカメラクルーと現地のガイドさんが同行。車内で試合終了後〜翌日の予定や現地の話などが説明される。

2度の休憩をはさんで走ること約5時間、ようやく済南市内へ。近づいていくにつれて警察も増え、交通規制を敷いて我々を誘導。日本を出発して約9時間、試合会場の山東省スポーツセンタースタジアム(中国語では山東省体育中心体育場)へ到着。

スタジアム周辺は昨今の反日感情を懸念して約15000人の超厳戒体制。とにかく物々しい異様な雰囲気がする。だが、ここから3回にわたる厳重なチェックが入る。携帯電話は持ち込みOKだったものの、バッグ、デジカメや飲食物など個人の貴重品以外は持ち込めるものは皆無に等しい。特に女性の化粧ポーチはかなりうるさくチェックされたようだ。スタンドへ入るゲートでは財布の中身までチェックされ、小銭はすべて一時預かりとなる。W杯をも上回るテロ警戒並みのチェックを経てようやくスタンドへたどり着いた。全員が入場し終わったときにはキックオフが直前に迫っていた。

試合前の選手コールも行えずにキックオフの笛が鳴った。トリコロールの戦士は開始からアグレッシブに攻める。奥の放ったオープニングシュートは大きく枠を外したがその後もチャンスを演出。すぐに歓喜が訪れた。右サイドで得たFK。キッカー大橋の蹴ったボールはピンポイントでマリノス選手が合わせてネットが揺れる。やった、先制点だ。しかしアナウンスがされないために誰が決めたかはわからない。その後もマリノスが試合を優位に進めるも、山東もスピードとすばやい展開で反撃してくる。徐々にペナルティエリア手前でのファウルが多くなり、苦しくなるもGKの好セーブ、体を張った守りで次々と襲われるピンチを切り抜けていく。

しかし前半残り10分を切った37分、相手の10番に2列目からの飛び出しを許し、右足でダイレクトに豪快なシュートを決められ、同点に追いつかれる。1−1のまま前半終了。

この試合、グループリーグの運命は残り45分で決する。

ハーフタイム、クラブ側が用意してくれた飲料水でのどを潤す。ここで先制点は那須が決めたことがわかった。また日本ではマリノスの公式サイトの速報がパンクしていることも知らされた。スタジアム内は禁煙と言われていたのに、現地当局の制服の警察官が普通にタバコを吸っている。筆者はタバコを吸わないが一服する人もいた。
後半がキックオフ。後半10分にピッチに倒れこむ相手選手。担架スタッフもゆっくりと入ってくる。業を煮やしたジョンファンが早くするよう促す。これが発端となり小競り合いで4分中断する。試合が再開するも押し込まれる場面が多かったがマリノスもチャンスがないわけではない。左サイドのクロスから中沢が合わせるもわずかにそれる。セットプレーからゴールを伺うも決定打はない。

31分にドラゴン久保がついにピッチに帰ってきた。久々の試合出場だが驚異的な身体能力は健在。ハイボールの競り合いでも強さを発揮する。

38分にはメンバー登録されていない兄に代わってこの大会で10番をつけている山瀬弟が大橋と代わって投入される。その3分後左サイドのジョンファンからグラウンダーのクロスを久保が左足で強烈なシュート、そのこぼれ球を隼磨が押し込む。ゴールラインを越え、相手が手でクリアしたように見えるもノーゴールの判定。この判定をめぐって、猛抗議するも判定は変わらない。再開後のCK、山瀬が角度のないシュートを放ち、マツが飛び込むも届かない。

度重なる中断で積もったロスタイムは7分。逆転するには十分すぎる時間だ。しかし悪夢のような結末は突然やってきた。ロスタイム4分、山東のカウンター。中央からドリブルでマリノスの選手が2人ドリブルで振り切られ、残るはGKのみ。GKをも交わして放たれたボールは無人のゴールへと吸い込まれていった。

最終戦へ望みを繋ぐためには残ったロスタイムで2点以上取らないといけない。

トリコロールの戦士は最後までファイティングポーズをとり、あきらめずに相手ゴールに迫ったが時間通り7分のロスタイムどおりで無情のタイムアップの笛。その笛の音は世界への扉を閉ざした。うなだれるトリコロール。サポーターも悔し涙にくれながら、選手が引き上げるまで「F・マリノス」のコールはやむことはなかった。

ホームチームサポーターが退散後、マリノスサポーターがバスへ乗り込むことを許された。スタジアムを出発して程なく、宿へ到着。残念会ではあったがテーブルごとに今日の試合を振り返るもやはりみな気乗りがしないし、何より食事がおいしくない(これ、本音)。1時間ほどで退散し、各自部屋へ散っていった。部屋に入ってシャワーで汗を流そうとするも、シャワーヘッドは固定されているどころか、バスからしかお湯が出てこない。言葉も分からないし、そんな気にならなかったのでバスの蛇口に頭を近づけ、髪を洗い、水浴び状態で汗を流す。試合が終わったあとに関係ないところにまでアウェーの洗礼を浴びせるんじゃねぇと叫びたい気分だった。







ドライブインでの休憩


交通を遮断してノンストップでバスは進む。合流するはずの車は止められて渋滞になっている。


見えてきたスタジアム。シルエットで警官の影。


近づけば警官がビッシリと隊列を組んでいるのがわかる。


消防隊も出動している。


パトカー先導でスタジアムへ入る。いよいよ決戦へ。


出た!公安の2文字。


サヨナラ中国。青島空港から関空へ帰還する。
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