malicia witness WM2006惨敗記
6_首都で見かけた日本人。

今日はドイツ代表がエクアドルとの最終節。朝8時過ぎにホテルの前を通り過ぎて行くドイツ国旗を持った人々。ファン・フェストの席とりに行くようだ。そして、私はフランクフルトを発つ。

経済の中心地・フランクフルトから、旧西ドイツの政治の中心地・ボンへ向かう。ボンは暫定首都であったが小さな街だ。中央駅からライン川までのコンパクトなエリアに街が広がる。人口は約30万人。駅前には石畳の小さな広場。駅の両側を結ぶ、地下の自由通路。広がる街はクルマと人の導線が完全に分離していて、駅前付近はずっと石畳の歩行者天国のような雰囲気だ。大学があり学生が多い。どこかに似ているなぁ、と思っていたが、このムードは町田だ。小田急町田駅から後楽園アドホックの前を通って東急百貨店、ジョルナ、東急ハンズの方向に抜けていく、あの景色なのだ。

そんな街並の中で何人かの日本人を見かけた。その多くはスペイン代表やイングランド代表のユニフォームを着ている奇妙な日本人だった(日本代表のキャンプ地なのに!)。ドイツでは、ドイツ以外の国同士のワールドカップを観戦するときに、対戦国のシャツを着ていくドイツ人も多い。それは2002年の日本人と似通った行動だ。それは開催国の楽しみ方として、ごく自然なことだったと思う。しかし・・・。

ワールドカップは見物する祭典ではなく、誰もが参加できる祭りだスタジアムの中では喧嘩祭りの趣もある。誰もが参加できるというのは、誰もが「俺は日本人だぜ!」と意思表示するだけで、簡単にコミュニケーションが出来るということだ。多くの人々は、それを楽しみに、そして、自分自身のアイデンティティの確認を繰り返している。

ニュレンベルクでの闘いに、日本人らしさは見いだせただろうか。選手達は日本人としての自分を、ピッチ上から表現することが出来ただろうか。スタンドにいた私たちは、帰りの道で、日本人だ!と胸を張って歩くことが出来ただろうか。自らと仲間とを語り自慢し見せつける、そんな単純な行動が、気遣いなしに出来るのがワールドカップの良いところだ。そして、それを闘いという舞台で表現してみせるのが代表チームだ。たしかに、クロアチア戦の日本代表は不甲斐なかった。日本人らしさは何も見せなかったように思える。だが、それは、日常においても、自らが何者であるかを、積極的に表現できない、私たち日本人の代表の姿なのだ。
さて、イングランド代表を着込んだ日本人は、街で、どれだけの人とサッカーや自分の国や、自分の家族や自分のこと、それに、住んでいる街や友達のことを語り合うことが出来たのだろうか。

帰国して、マリーシア・コアメンバーの1人、まきちゃんと飲んで話をした。彼女は、オーストラリア戦を見た後、ベルリンへ向かい、ブラジルークロアチアを観戦した。チケットは現地での獲得だ。そのときに、現地の人に言われたのだそうだ。
「ただ、チケットがほしいという紙を持って立ち尽くしている人に、チケットなんて売らないよ。」
もし逆に、「チャンスの到来をひたすら静かに待ち、チャンスが来なかったことを外的要因にする欧州かぶれ」、それが日本人の姿なのであれば、ニュレンベルクの闘いは正しい日本人像を示したことになる。だが、それを私たちは認めて良いものだろうか。

宿泊地はデュッセルドルフ。日本人の多い街として知られる。日本式の打ち上げ花火を目玉にしているイベントがあり、その夜は、人口が倍に膨れるそうだ。また、日本式の寺があり、大晦日には除夜の鐘が鳴る。ただし、除夜の鐘はドイツ人にも人気で長蛇の列となり、絶対に108以上の鐘がたたかれているのだそうだ。

ライン川沿岸の旧市街が楽しいときいていたので、さっそく向かった。クルマを遮断した飲食店街を抜けると、そこには広く大きな「父なる川」ライン川が横たわっている。その川岸には、オープンエアのビアホールが延々と続いている。どの店にも大型画面があり、映し出されるプレーに一喜一憂する。飲み終わるとビールは勝手に運ばれてくる。そして料金を払う。乾燥した気候と、川の眺め、各国のシャツを着たサッカーファンとのばか騒ぎ。そんなつまみが豊富なので、この地方の名物、アルトビールが美味い。

ハーフタイムにDJがサルサをかけると、メキシコ人達は金髪のドイツ人女性の腰に手を回し踊りに誘う。見事な行動だ。踊りの輪が出来る。サルサが終わると、スカがかかる。これはラッキー。ステップを踏み飛び跳ねる。ビールを飲みながら片言の英語で会話した人たちが集まって踊り狂う。メキシコ人はエル・イホ・デ・サントの覆面を被って跳ねている。先ほど交換したハッピを着込んだドイツ人が、みんなで記念撮影をしようと提案する。各国、それぞれの言葉で訳のわからないことを叫んでシャッターを押す。私にとっての2006年のメキシコ人は、ちょいワルオヤジ(監督)の指示に従って激しく動き、いい加減な人たちの割には、やるときはやる。そして、女性に手を出すのが早くて陽気。そんな理解だ。今日、一緒に騒いだ彼らは、2006年の日本人を、どのような人だと理解したのだろうか。


イングランドとスウェーデンの好ゲームに盛り上がるビアホール。こんな店が堤防の上に何件も連なっている。

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ジーコが来るらしく大混雑だったが無関心なので、すぐに出発。


ヒロアキ君と再会。指はもちろん3−0。


こじんまりとしたボンの街並。


パラグアイ人も昼からビールが基本。


イチゴとホワイトアスパラ。デカイ。


ボンで見かけた日本人。


美女達。だがドイツ人なら15年後はビールっ腹のおばちゃんになることは確実。


外部から完全遮断された秘密練習に最適の練習場スタジアム。


報道ステーション、生中継中。


みんな陽気に祭りを楽しんでいる。


各国が集まって記念撮影。


ドイツの人たちは日本のチームカラーは赤だと思っている。この旗のことも知らなかった。

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