malicia witness FIFA女子ワールドカップドイツ2011
フランクフルト中央駅。そこは仲間と出会うところ。



FIFA女子ワールドカップドイツ2011のファイナルは延長戦120分を闘っても決着がつかず、延長戦に入った。そこで思わぬ出来事が。米国のキッカーがペナルティマークの前に立つと多くのドイツ人が口笛によるブーイングでプレッシャーをかける(米国のサポーターには、そのような文化が身に付いていなかったようだ)。ドイツのファンは、実にピッチ上のフットボールにストレートに反応する。序盤は逆だった。なかなかボールを前に蹴らない海堀やディフェンスラインの選手に、容赦なくブーイングが送られていた。そのドイツのファンの多くは、最終的には、米国ではなく、なでしこを選択したのだ。

2011年7月17日、トラムを降りゲートを越えて、森の中に作られた一本道を抜けるとスタジアムが見えてくる。約5万人を収容するサッカー専用スタジアムは、ドイツらしく無駄を一切排したシンプルな美しいデザインをしている。急すぎずほどよい傾斜の2層スタンド。雨天時には完全にピッチとスタンドを覆うことが出来る移動式の屋根。天井にはNBAのコートのように四方から見える大型モニタが吊るされている。スタジアムの回りには何面もの芝生のピッチが取り囲む。

このスタンドに足を踏み込み、直後に始まった両チームの選手紹介のとき、予想以上に米国サポーターの数が多く、声量が大きいことを知った。天井を反響するUSAコールは米国に女子サッカーがいかに普及しているかを示すものだった。私は「一緒の席で見よう」と誘う仲間に断りを入れ、一人カテ2、メインスタンドのコーナー付近に座る。PK戦を行なった側のゴールの横、メインスタンドの端だ。左側にはコーナーゲートがあり、席は無いので荷物を置きやすいことが助かる。見渡せば、このコーナー付近は熱狂的な応援をしようという米国人だらけ。日本人は私を含めて3人しかいない。私以外は大人しそうな女性2人。なぜなら、準決勝開始前まで売れ残っていた席だからだ。つまり、日本の準決勝戦の決着つく前に、一足先に決勝戦進出を決めた米国のサポーターが一気に買い占めたエリアなのだ。

決勝戦の前日の夕方、前回のFIFA女子ワールドカップ2007中国でも一緒にスタンド観戦をしている鈴木さんと、フランクフルト中央駅のスタバで待ち合わせしてマイン川の河川敷に作られたファンフェス会場に向かう。大型ビジョンが設置されパブリックビューイング会場となる。多くのテントが設置されフランクフルトソーセージなどを食べられる。かなり立派なビールカウンターもある。2006年と比較すればサイズは1/4程度だが、それでもなかなか楽しめる。大きな音楽ステージがあるのが魅力だ。まずは屋外でビール。生中継の3位決定戦を見る。そこで、今回、ずっとドイツに滞在している太鼓隊サポーターと出会う。ちなみに、鈴木さんは彼らと会うのは2回目。なぜなら、鈴木さんは一次リーグのメキシコ戦をスタンドから応援し、その後帰国。なでしこジャパンの決勝戦進出決定により、再度、ドイツへやって来たのだ。そこで話題になったのが共同通信の記事。「決勝戦に向けて、なでしこサポーターが成田を出発した」というものだ。そこには2名のサポーターのインタビューが名前入りで掲載されているのだが、その2人というのが、この2人なのだ。私は、その記事を友人のfacebookの書き込みで知った。そして、返信した。「2時間後に、その記事に掲載されている2人で呑みます。」おそらく、日本から決勝戦のためにフランクフルトに乗り込む日本人サポーターは多くない。といっても、前回大会のアルゼンチン戦など、選手のご家族・関係者を除けば100人の日本人がいたかどうかという寂しいスタンドの日本人率。一方、ドイツにはデュッセルドルフを中心に多くの日本人が在留している。欧州中からフランクフルトには航空機も飛んでいる。きっと欧州在留の日本人がたくさんスタジアムには駆けつけてくれるだろう。

ファンフェス会場には米国人の姿は見当たらず、日本人も、私たち2人の他は太鼓隊だけのようだった。私は浴衣姿だということもあって、ドイツのテレビ局からインタビュー取材を受けた。つたない英語で「ごめんねアメリカ。勝つのは私たちだ。」と答えておいた。浴衣姿でドイツに来る日本人は多くないからだろうか、何名かのドイツ人に記念撮影をお願いされた。ドイツ人は総じて日本人には好意的だ。また、なでしこジャパンのフットボールの評価が、とても高いと報じられている。「まるでバルセロナのようだ」とも。

フランクフルト中央駅前のアイリッシュパブの前でアシシさんに合う。「世界一蹴の旅」で一躍有名となり、最近、多くのスタジアム中継に姿が映るサポーターだ。「青い甲冑とダジャレゲートフラッグの人」とでも言えば「あああの人だ」と。思いで出してくれる人も多いのではなかろうか。米国戦でのゲートフラッグは「日本人なら米を食え」に決まったそうだ。アシシさんと鈴木さん、そして私、さらに3名を加えて食事。店のセレクトは鈴木さんがメキシコ戦前に食事をした店。ドイツ出張が多い友人も、この店を推薦していたから味に間違えは無い。

Baseler Str.の「BASELER ECK(バーゼラー・エック)」。通されたのは、日本テレビのテレビクルーの隣のテーブルだった。そこでも話題はチケット。準決勝終了直後に完売したチケットだが、当初は楽観視されていた。どうせ、前日や当日になればチケットはどこからか湧いてくる。自国が敗退したドイツ人は売りたいはずだ、と。そころが予想外にチケットは高騰し、200ユーロのカテ1が350ユーロで取引されている。しかも、流通している枚数は少ない。今回、女子ワールドカップは、様々な歴史を塗り替えてきた。例えば観客動員数、そして素早くパスで繋ぐスタイルの台頭。このドイツ大会は女子サッカーの歴史の転換となる大会となるかもしれない。そして、なでしこジャパンのフットボールスタイルは女子サッカー界を牽引する最先端のスタイルだと言われている。最先端が、最強・米国を破ることが出来るか、世界が注目している。

(文中選手の敬称略)

つづく






























カラフルな赤、白、青に身を包み、スタンドに詰めかけた米国サポーター。観戦スタイルは、欧州とはちょっと違う。


他のドイツのスタジアムと同様に森を抜ける道の向うにフランクフルトのスタジアムが見えてくる。フランクフルト中央駅からはトラムで行くのが便利。


どこからでもピッチがよく見えるサッカー専用スタジアム。


フランクフルト中央駅に入ってすぐ、右側にスターバックスコーヒーがある。ここで3度の待ち合わせをした。


市内の移動はトラムが便利。


独女子から記念撮影のリクエスト。浴衣が人気。ドイツのテレビ局のインタビュー取材も。


2006年よりは小規模だが、ファンファス会場は賑やか。


「BASELER ECK(バーゼラー・エック)」では、伝統的なドイツ料理を楽しめる。美味い、安い。











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