malicia witness FIFA女子ワールドカップドイツ2011
パブから移動。トラムの中でドイツ人を誘う。



試合開始の朝、フランクフルトの観光の中心地レーマー広場に向かう。あいにくの雨模様、しかも日曜日あって、人影は多くない。土産物屋には日の丸と星条旗が掲げられ決勝戦のムードを盛り上げる。ドイツ各地から決勝戦を観戦するドイツ人が集まってきているようだ。日の丸を買うドイツ人が多い。テレビカメラが追いかけてきた。
「ちょっと撮影させてください。」
「あれ、昨日、お隣のテーブルでしたね。」
昨夜の日本テレビのクルーだった。簡単にインタビューを済ます。フランクフルト名物のアップルワインを飲んで食事をしていると、今度はドイツのテレビ局。さすがは決戦直前だ。街にテレビクルーの数が多い。

フランクフルト中央駅前に戻ると、賑やかさを増している。浮ついた空気感は、まさにワールドカップだ。今度は、ライターの了戒美子とスタバの前で待ち合わせ。このフランクフルト中央駅のスターバックスコーヒーは駅の正面入り口に面しているので、待ち合わせにはもってこいなのだ。(ちなみに、私がフランクフルト到着時にも、ライターの江橋よしのりさんと待ち合わせをしているので、ここでの待ち合わせは3度目)。さて、了戒美子はドイツを活躍の舞台としているライターでデュッセルドルフに住んでいる。近頃、香川をはじめとする日本人選手が活躍しており、ずっとドイツで仕事をしているのだ。ちなみに、私と彼女の関係だが、彼女が初めて入社した会社で私が上司だった、という関係。当時、彼女は映像制作のアシスタントディレクターをしていた。それが、どのように転がって行くか、世の中わからないものだ。決勝戦の試合開始は20:45と遅いので、14:45という中途半端な時間に2度目の昼食をとる。きっとスタジアムに入れば飲まず喰わずだ。了戒美子によれば、大会の盛り上がりは今ひとつ。2006年と比較すれば1/10くらいではないかということ。それは納得。市内に大会装飾も少ないし、オフィシャルグッズのショップも無い。なにしろ男子と比べれば女子の市場は1/10にも達しないのだから、それでも、今日の様子を見れば充分に盛り上がっているといえる。特に私は前回大会を上海で観戦しているので、上海の様子と比べれば遥かに盛り上がっていることがよくわかる。上海は有料で観戦している人が極端に少なかったはずだ。だが、ドイツは違う。街行く人も、沢山、私に声をかけてくれる。
「ヤーパン!(ドイツ語で日本)」
「ニッポーン!」
「ジャパン」
中には、自転車で通過するときに無言だが親指を立ててくれる人なども。

今回の大会はツイッターが役立っている。どこにいるのか、何人いるのかもわからない日本人が相互に連絡を取り合ったり拡散したりに使用している。そんな私に、昨日、リプライがついた。
「ようこそフランクフルトへ!今日は午後2時から盆踊りがあります。場所はハウプトヴァッへのリープフラウエンベルク広場です。よろしければ、お立ち寄り下さ〜い。」
今いる場所から、歩いて10分ほどの広場だ。せっかくのお誘いなので行ってみると、なるほど、本格的な盆踊りだ。みな浴衣で踊っている。ドイツ人も交えて、主にはドイツ在住の日本人が、この決勝戦の前にみんなで盆踊りをしている。それを眺めていると不意に声が掛かった。
「石井さん!」
お誘いいただいた方は、フランクフルトで人材派遣業を起業された方だった。

16:45にフランクフルト中央駅前のアイリッシュパブへ向かう。ここは、アシシさんがツイッターで声をかけて決起集会を行う場所。そして優勝すれば祝勝会の会場となる。日曜日もおかまい無しに営業している。2006年にはダフ屋ネットワークの中継基地となった店だ。すでに多くの日本人サポーターは集合している。多いといっても30名ほど。いわゆる典型的な「わかりやすいサポーター」というのは、他には、あまりいないようだということがわかる。また、留学生や旅行途中での立寄参戦が多いこともわかった。パブの店内には米国人が多い。すでにビールをあおって大いに盛り上がっている。昨日、お会いした人材派遣業を起業された方も親子で登場。これからチケットを探すのだという。(ちなみに、チケットを無事に額面以下で確保し観戦されたそうだ。しかも、隣の席は佐々木監督夫人!)この店にサポーターが集まることは有名なので、日本テレビとテレビ朝日のクルーも到着し取材開始。盛り上がりは、すぐに波及して、どんどん人が増えていく。通りがかりにひと声かけてくれるドイツ人、記念撮影だけをしにくる人も多い。とにかく、ワールドカップ×ツイッターで仲間がどんどん増えていく。

スタジアムへ21番のトラムで向かう。トラム=路面電車といっても日本のそれとは大きく違う。基本は3両編成だ。試合がある日は6両編成にまで増設される。各駅から人が乗り込んでくる。そして笑う。なにしろ、ボーリングのピンのかぶり物を被った日本人と着物の日本人が乗っている。少し横には、頭をジャパンブルーのリカちゃん11人で囲んだ日本人が乗っている。ネタのワンダーランドだ。ただふざけているようにも見えるが、これが実は理にかなっている。こうした格好をすることで、開催地の人々と会話のキッカケを掴める。
「ボーリングのピンを被っているのは2人いる。一本、二本。二本と日本は同じ発音で、日本はJAPANのこと。」
などなど。

私はドイツ人のプチ買収に入る。トラムに途中駅で乗り込んできた女性3人組の1人は米国を応援するという。1人は中立、1人は日本だと。そこで、私は青いタオルを持ち出して中立の女性にプレゼント。
「貴方は今から日本の応援。」
これで、この3人組は2人が日本の応援に回ったので多数決で日本の応援だ。なんとも強引な計算である。しかし、こうしたプチ買収のために、私は単価の安いグッズやただでもらえるモノを大量に持ち込む。特に、自分の席の周囲の席のプチ買収は重要だ。スタンドを日本びいきにするための小さな努力でもあり、楽しく観戦するコツでもある。

スタジアムに到着。まだ開門していないため人が溢れている。そこでも私たちは大人気だ。奇抜な格好の日本人と一緒に写真を撮ろうと、ドイツ人と米国人がひっきりなしにやってくる。そして、小さな応援合戦を繰り広げる。気分は盛り上がってきた。世界一は近い。時間も開門を告げた。いよいよ決戦の地に入る。

(文中選手の敬称略)

つづく






























ランチが同じテーブルになったご家族。スタジアムへ行くという。ドリンクはフランクフルトの地酒のリンゴワイン。


パッチモン応援グッズを売る人が現れた。


フランクフルト中央駅の真正面の道はホコ天。ワインやビールを楽しめる露天が並ぶ。


フランクフルト中央駅内の大会インフォメーション。


フランクフルト音頭で踊るフランクフルトの日本人のみなさん。中央にあるのは櫓ではない。


ツイッターで盆踊りを誘ってくださった親子。素晴らしい出会いだった。


フランクフルト中央駅前のパブに日本人が集まり始めた。


パブ店内の左側は米国人が貸切り状態。


そろそろ行こうぜニッポン!








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