malicia witness FIFA女子ワールドカップ2007中国
2_劇的ゴール

錦江(ジンジャン)ホテルの朝食で、まず理解をしたことは「水がとてつもなく不味い」ということだ。2002年ワールドカップで訪れた韓国・儒城温泉(ユソンオンチョン)のスパピアホテルで飲んだコーヒーは、昔のロッテコーヒーガムを噛み続けて味がなくなりかけたような薄い味だった。それは、コーヒーの入れ方の問題だと思う。しかし、上海の場合は、明らかに水が不味い。なぜなら、部屋に備え付けのキリンのミネラルウォーターが不味かったからだ。その水でコーヒーを入れれば、不味いに決まっている(風呂場の水には色がついてる)。コーヒーは2口目で断念。紅茶の方が幾分マシだが、それでも不味い。ただし、朝食には、かなり満足だ。

今日はなでしこジャパンの緒戦・イングランド女子代表戦。キックオフまでに時間がかなりあるので、まずは、上海観光の王道を回ることにする。

タクシーで向かった先は豫園(ユエン)。官僚一族の造った400年以上の歴史を持つ江南古典庭園の周りに土産物屋や飲食店が並ぶ一角では、昔の上海を感じることができる。東京で言えば、浅草に近いイメージの観光地だ。その外れにある春風得意楼茶館でお茶を飲む。頼むのは、白茶の新作と花茶。特に、白茶は、日本では、あまり美味しいものを店で飲むことが出来ないので、この優しい味覚をゆったりと味わえるのは、とても嬉しい。日本語がペラペラの従業員は、なんどでもなんどでも、テーブルにベタ付きでお茶を入れてくれる。そして、観光客に役立つ情報を教えてくれる。中国では、今、日本語を勉強すること、日本の流行を真似することが大ブームなのだそうだ。そういえば、書店でも、上海版のファッション雑誌oggiを売っていた。テレビに出てくる中国人タレントの顔は、みんな日本のアイドルタレントのようなタイプだ(同じようなメイクをしている)。バラエティー番組の演出方法も日本のテレビに似てる(というかパクリ)。

ホテルのコーヒーが不味いのは何故なのか聞いてみた。やはり原因は水だそうだ。この店では、良質のミネラルウォーターを使用してお茶を入れているので、とても美味しく飲むことが出来るが、普通の上海の飲食店では、なかなか美味しいお茶と巡り会うことは出来ないという。
「中国のお茶を日本で入れると、中国で飲むよりも美味しく飲むことが出来ます。」
従業員の説明に、思わず吹き出す。
ゆったりとした気分でお茶を飲みながら会話を楽しむ。観光客が興味を持っている情報を的確に、ユーモアを交えて伝えてくれる。これが、この茶館の「おもてなし」だ。ちょうど、いま、東京でも流行の「昼キャバ」が、これに類似する業種なのかもしれない。

「上海の地下鉄はラッシュアワーにはとても混雑し、おまけにマナーが悪いので乗るのも降りるのも苦労するしスリも多い」と聞いていたので、20時開始のスタジアムへはタクシーで行くことにする。しかし、その前に外灘(ワイタン)だ。あの世界でも有数の夜景を見れるのは、予定しているスケジュールを辿れば、この日の18:00過ぎしかない。

ユニフォームには着替えずに、ホテルからタクシーで外灘(ワイタン)へ向かう、日没は18:00頃の予定だ。しかし、到着してみると、なかなか暗くなる気配がない。仕方ないので南京東路まで歩き、早めに夕食をとることにする。南京東路の繁華街までは徒歩で約10分の距離だ。今日の夕食は水餃子。時間が限られているので、大娘小餃というファーストフードの餃子チェーンで済ませる。この餃子チェーンには日替わりで各種具の餃子が用意されている。壁に掛けられた本日のメニューから選ぶのだが、当然のこと中国語表記のみ。読み方がわからないし、壁を指差しても壁までの距離が遠いのでオーダーするためにはメモに品名を書くしかない。この店は上海にしては珍しくお客さんが並んで注文を待っている(地下鉄はけっして並ばないのに)。その列の横で、意味はわかるが読み方はわからない品名をメモに書く。文字から具を想像するのに時間がかかるし、漢字も日本語と微妙に違うので、スムーズには進まない。やっと、欲しい品名を書き終えると、なんとレジカウンター内のお姉さんが、並んでいるお客さんの前に、私を割り込ませてくれた。「上海人は並ばないしマナーが悪い」と聞いていたが、店の人に誘導されて自分が割り込むことになるとは予想していなかった。味は、まぁファーストフード。麺は具の下ごしらえをあまりしていないので肉が「獣の味」だった。下ごしらえの有無は、日本の料理との一番大きな違いだろう。

地下にある大娘小餃の階段を上ると南京東路のネオンは香港のように派手に輝いていた。これならば、すぐに外灘(ワイタン)でも夜景を楽しめそうだ。ところが外灘(ワイタン)に着いてみると、日は暮れているのにライトアップはされていない。どうやら19:00から一斉にライトアップされるのだろう、と予想する。試合開始は迫るが、ここは19:00まで待つしかない。

外灘(ワイタン)は川の対岸の浦東(プートン)と並んで上海の代表的な観光スポットだが、上海人は、ほとんど歩いていない。大半が外国からの観光客か中国でも地方都市からの観光客だ。だから、服装やメイクが田舎っぽく上海っぽさがない。みな、ライトアップがされるのを待っている。当然、一斉に点灯されるのかと思ったが、どうやら、ビルごとに、徐々にライトアップが始まっているようだ。浦東(プートン)のシンボル・東方明珠電視塔(ドンファンミンジューター)は怪しく光が動いている。ほぼ全てのライトアップが終わり、タクシーで上海虹口足球場(シャンハイホンコウフットボールスタジアム)へ向かうことにする、が、ここでアクシデント。西安(シーアン)からやってきたという女の子に話しかけられて時間を費やす。西安(シーアン)は中国の内陸部にあり遥か昔にはシルクロードの起点として栄えた街だ。上海から日本までは3時間かからずにやって来れると聞いて驚いていた。どうやら憧れの国・日本について色々聞きたいらしい。なかなか逃げられずに10分ほどロスする。すでに試合開始50分前。ピンチだ。幸いタクシーをすぐに捕まえることが出来たので、スタジアム前には試合開始30分前には着くことが出来た。

ところが、ここからがたいへんなのだ。まず、ボランティアが案内経路を熟知していないので、誤った案内でスタジアムの外周を一周することになる(NISSAN70のTシャツを着た日本人家族も一緒に一周した)。そして階段を上がろうとすると、そこは人でごった返している。並ぶことを知らない上海の学生達が押し合ってているのだ。最悪の場所で噂通りの無秩序な行動っぷりを体験することになった。なんとかゲートがある階段を上がった時点で、時計は既に試合開始15分前。ゲートの金属探知機はピーピー鳴りっぱなしだが、誰も止められることはない。ペットボトルも「保安」スタッフには見えているはずだが没収されなかった。チケットに書かれたゲートナンバーは「1」。しかし、階段の上の照明が当らないところに小さくゲートナンバーが書かれていることを知ったのは、すでに試合が開始されてからだった。何度もゲートで「違う」と追い返され、試合開始までにスタンドに入ることが出来なかったのだ、なんたる不覚!!

やはり、試合開始までの入場できない人が多いのか、スタンドは試合開始後に徐々に埋まっていく。特に学生の団体観戦のエリアは、学生達が狭いゲートに押し掛けるために、整列入場よりもはるかに入場に時間がかかってしまうのだ。さて、やっと辿り着いた自分の席はメインスタンド2階席。ど真ん中の上段だ。急斜面がピッチまでの程よい距離を作り出しており、とても見やすい。日本のスタジアムで言えば、豊田スタジアムからのピッチの眺めに近い印象だ。最も高価なカテゴリーの席だけあって、座席にはカップホルダーが付いており、手すりもある。前の席との距離も十分にあるため、快適な観戦環境だ。私の座席の隣にはイングランド人の女性2人。全身がイングランドに染まり(といっても白だ)、手すりには2つのイングランド国旗を掛けている。座席に着いた私は、イングランド国旗の横に、寄せ書きでいっぱいになった日の丸を2つ掛ける。ちょうどイングランドの国旗と日の丸が2つづつ並ぶことになった。ゴール裏スタンドを見ると、最後尾で太鼓を叩いている見慣れた顔が見える。ベレーザサポーターの加藤君だ。上海セレブばかりが点在するメインスタンド2階から、大きな声で叫ぶ。
「ニッポン!!ニッポン!!」

ある程度の予想をしていたが、一斉に周囲の視線がこちらに鋭く刺さる。ちらっと見るのではなく睨みつけてくる。どうやら、このメインスタンド2階カテゴリー1には日本人は他には誰もないらしい(しいていえば、2階スタンド最前列の放送席には川上直子さんと青嶋アナウンサーがいたのと、途中から近くの席に日本人の家族が加わった)。フェンスを隔てた満席になっているコーナー付近のカテゴリー2は、ほとんどが団体観戦の学生達だ。このエリアでは、ほぼ孤立無援の状態。叫ぶたびに睨まれる。そして、ゲート付近に立っている公安は、私を「要注意人物」として、ずっと見ている。付近に観客が少ないこともあって、完全に「あいつにマンマーク」状態だ。

イングランド女子代表の攻撃は予想よりもずっと早くて鋭い。特に10番のスミスと11番のヤンキー、さらには9番のアルコは何をして来るのかわからない。国立競技場で見たカナダ女子代表よりも、ずっと足下が巧みで、縦への推進力が強い。そして、両サイドからのドリブル突破が危険なため、なでしこジャパンのサイド攻撃は封じられてしまう。私のすぐ後ろの席には上海人が5名ほど集まっていて、盛んに「スミスー!」と叫んでいる。会話から聞こえてくるイングランド人の名前から想像するに、イングランドサッカーのファンだ。上海ではプレミアリーグの中継を見ることが出来る。だから、この試合は、ちょうど「国立競技場で中国ーイングランドを観戦する」のと同じような環境だ。中国人達に反日感情があろうがなかろうが、彼らがイングランド女子代表を応援するのは自然なことなのだ。

前半は0−0。決定機はイングランド女子代表の方が多い。ライターの江橋さんによると、なでしこジャパンがイングランド女子代表よりもランキングで上位にいる主な理由は「中国に連勝したから」なのだそうだ。だからなでしこジャパンは大きくランクアップしたのだ。逆にイングランド女子代表は、欧州の強豪国ばかりと試合をするので、なかなかランクアップすることは出来ない。男子ほどではないが、女子のランキングも実情とは微妙に違いがあるらしい。さて、なでしこジャパンの運動量が少なくパスが回らないことあって、0−0は上々の結果と思える。強烈なシュートが何度もゴールを襲い、3点獲られていてもおかしくない展開だ。

後半に入っても、なでしこジャパンの動きは鈍い。私を見る周囲の目は、ずっと厳しい。ペットボトルは見つかると没収になるので水は飲めない。後ろの席の上海人達は、ずっと騒いでいる。再三イングランド女子代表が創りだすチャンスもゴールには至らず、中国語で叫んでいる。
「アイヤー!スミスー!!」
「スミスー!!」
前半に引き続き厳しい応援環境だ。しかい、私の声の大きさに気分を悪くしたのか、隣の席にいたイングランド人2人は、別の席へ逃げてしまった。これで、私の周りにはスペースが広がっている。

少しスタジアムの雰囲気が少し変わったのは「加油!」のコールが日本サポーターのいるゴール裏脇から始まってから。ただ、この「加油コール」は「イングランド加油!」だったのか「日本加油!」だったのか、それは、日本に帰国してからもわからないままだ。普通に考えれば「イングランド加油!(イングランド・ジャーヨウ=イングランド頑張れ)」のコールが始まる方が普通だ。ただ、試合中から不思議だったのは、このコールがスタジアム全体には広がらなかったことだ。そのことからしても、ひょっとすると「日本加油!(リーベン・ジャーヨウ=日本頑張れ)」だったのかもしれない。だが、全般にはスタジアムの雰囲気は、ずっとイングランドびいきだった。それを最も良く伝えたのは、終盤に磯崎が交代した時だ。イングランド女子代表選手の交代とは対照的に、拍手はまばら。初めて目にする磯崎選手の途中交代を一層寂しい印象に演出した。

試合展開の話に戻ろう。劣勢だったゲームだが先制点を挙げたのはなでしこジャパン。宮間のフリーキックは、日本サポーターが陣取る側のゴールへ吸い込まれていった。アッと驚いた。通常とは違って右足で放ったシュートが右に曲がっていって突き刺さったからだ。宮間は左右両方の足でセットプレーに正確なキックを蹴ることが出来る。私自身は、この右足のシュート回転のセットプレーを見たのは初めてだった。

大きな衝撃のゴールが決まり、私は大きく飛び跳ね、いつもに増しての絶叫。すぐ後ろにいた上海人たちは沈黙している。スタジアム全体が沈黙をしたのかと思ったが、それは錯覚。帰国後にビデオを見ると、スタジアム全体が湧いていた。それまでは、コールをするたびにするごく睨みつけていた周囲の目が、今度はカメラのフラッシュに変わった。近くのアラブ系の男性が、こちらに笑顔を向ける。気が付けば、フェンスを隔てた満席になっているコーナー付近のカテゴリー2でも学生達の団体観戦に混じって小さな日の丸が舞っている。なんだ、ちらほらと日本人のグループがいるじゃないか。彼らも一斉に立ち上がってニッポンと叫ぶ。点在する日本人のグループがゴール後に現れる様は、あの1992年のヤマザキナビスコカップ予選リーグ最終節でVゴールをした瞬間にスタンド各所で現れたフリューゲルスの小旗を思い出させる光景だった。

このゴールで、これまでの小さかったニッポンコールはボリュームをワンランクアップ。加藤君の太鼓に合わせるだけだったコールの始まりも、スタンド各所から自然発生するようになる。この得点で勢いに乗れば良かったのだが、イングランドの攻撃の手は緩まず、やはりゲームの主導権はイングランドに引き戻されることになる。ただ、得点だけは1−0でリードをしている。といっても、この最初得点差を守り切ることは困難に思えた。

ピッチコンディションが悪く、なでしこジャパンは次第に消耗していった。押し込まれる試合展開の中でボールを奪ったときに、どのような攻撃をするべきか、チーム全体の意思は統一をされていなかっただろう。疲れはもちろん、この舞台はワールドカップなのだ。男子とは違って、女子は、このような大舞台の数が少ない。なでしこジャパンには世界大会の経験の少ない選手も混じっている。

ペナルティエリアに押し込まれたなでしこジャパンがボールを奪い、原(不調の宮本に代わって中盤の底に入っていた)が前にボールを送る。その瞬間に叫んだ。
「そこはナイ!!」
「違う!!」
パスの供給先にいたのは、先制ゴールを撃ち込んだ宮間。攻撃の要であり、中盤のボールの収まりどころだ。このとき、原は、宮間の足下にボールを収めて、展開をいったんは落ち着かせることを望んだ。しかし、宮間の考えは違った。原がパスを出す少し前に、ディフェンダーの裏を狙う勢いでダッシュを仕掛けていたのだ。その結果、パスはカットされ、なでしこジャパンは、あっという間に失点した。沸き上がるスタジアムの中で、私は言葉を失った。先ほどとは、後ろの席の上海人たちとは、一瞬で立場が逆転だ。だが、彼らは、私をからかうことまでは出来なかった。それは、彼らが喜んでいる間に、私が立ち上がって、腹の底から叫び始めたからだ。
「ニッポン!!!!ニッポン!!!」

だが、すぐに、先ほどと同じくスミスがゴール。逆転をされてしまう。同点のとき以上の大歓声がスタジアムを沸騰させ、メインスタンドも総立ち。私は何かを叫んだような気がするが、それが何だったのかは思い出せない。そこからスタンドはお祭り騒ぎ。あっという間の逆転劇を目撃した(招待券の)幸運な上海人たちは、スタジアムで起きる全てのことが楽しくて仕方ないようだった。反撃の糸口が掴めないなでしこジャパンは、時間だけを消費していく。

ロスタイム表示は3分だったらしい。ただし、このスタジアムには時間経過を示す時計がなく、メインスタンド中央2階の特等席だった私には、第四の審判が掲出したロスタイム表示が見えなかった。2階席最前列にある放送席のテレビモニタが、ちょうどロスタイム表示を隠していたのだ。そして、大型ビジョンの片隅に表示されているテレビ中継の時計表示を見るほどの余裕を私は持ってはいなかった。90分を経過したことは、なんとなくわかってい
て、ロスタイムは、3分くらいはあるだろうとは思っていた。ロスタイムに入って荒川がゴールキーパーに突っ込んでいって試合が止まる。当然、イエローカードが出るはずの、完全に遅れて入るタックルだった。ところが、イエローカードは出なかった。
「カードでないぞ。これは、ついてる。」
もし、ここでイエローカードが出ていれば、万事休すの雰囲気で、試合は終わっていただろう。だが、この止まった時間に、なでしこジャパンは、驚くべき蘇生を遂げるのだった。

ピッチに近い記者席で観戦をした記者たちは、試合の翌々日に、興奮まじりに、そのことを私に告げた。主審に時計を止めるように言いに行く者。監督の指示を聞きに行く者。「まだ、ここからだ」とチーメイトに声をかけて鼓舞する者。誰もが、勝ち点を獲るために闘う気持ちを止めなかったのだという。

試合が再開され、幸運にも掴んだゴール前でのフリーキック。
「頼む、決めてくれ!!」
何度も繰り返し叫んだ。宮間の助走を邪魔しようとするスミスの姿が目に入り、思わず絶叫した。
「ふざけんな!汚ぇぞ!!!!どけ!この野郎!!」
日本語で叫ぶことは意味があるのかどうか、まったくわからないが、私の思考は停止していた。イエローカードが出ると
「当たり前だ!当然だろ!!」
まったく意味が誰に伝わることもなく叫んでいた。

助走に入り直す宮間。蹴り出したボールは、弧を描くのではなく、強い弾道でゴールに向かっていった。ネットが揺れて、ボールがゴールの中に落ちるのを確かに視認していたのだが、なにか信じられなかった。本当に、ボールがゴールに吸い込まれていったことが事実なのか、それに、何か反則などが起きていなかったのか、副審は、どちらに旗を振っているのか、とにかく、私は固まった。

隣にいた妻は、私と日本代表の試合を初めて一緒に見たのは1989年のワールドカップ予選だった。機動隊が介入して大乱闘を鎮圧した試合でスタジアムデビューを飾ったため、スタジアムでのたいていの出来事には動じない。その妻は、ネットが揺れた瞬間に声をあげたのだという。だが、いつもであればゴールになる寸前には飛び跳ねている私が固まっているのを見て、もしかするとノーゴールなのではないかと思い、主審や副審を見たのだという。

私は固まっていた。そして、ゴールかどうかを確かめるように左側の妻を見た。すると、妻も喜んではいなかった。彼女は、そのとき、主審と副審の仕草を確認していたのだ。ゴールから、そこまでの時間は、ほんの一瞬だったのか、それとも1秒ほどだったのか、それとも数秒を要していたのかは定かではない。ただ、それらの行為を経て、私は涙とともに絶叫した。
「入った!入った!入った!入った!」
そして、急ピッチの階段から転げ落ちそうになり、何が原因だかはわからないが、肘の関節を負傷した。


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錦江ホテルは広い敷地の中にいくつもの建物が点在する大きなスケールのホテルだ。



豫園は上海の代表的な観光スポットとなっている。



庭園好きにはたまらない、建物と石と水と緑の競演。


日本語の出来る親切なスタッフが「地下鉄と南京東路はスリが多いから気をつけて」と教えてくれた。まさに、おもてなしの心が伝わる時間だった。


上海で記念撮影と言えば、浦東の高層ビルをバックにが定番。上海で最も高いビルとなる上海ヒルズは完成までもう一息。


並んでいるような並んでいないような餃子の列に、店員が割り込ませてくれた。これも、おもてなしの心か。


光が舞い、輝き眩い浦東の夜景。19:00に一斉に点灯するのではなく、徐々に光が増えていく。


外灘の歴史的建造物のライトアップも美しい。スタジアムからホテルへ帰る際も、この建造物の前をタクシーで通る幸運に恵まれた。


無駄に点滅し光が走るスタジアムの外壁。


急斜面がピッチの距離を近くする、とても試合を見やすい虹口球技場。


日本とイングランドの対決は、ウエンブリーのアンブロカップ以来?


寄せ書きでいっぱいの日の丸を2つ並べて応援。


ゴール裏最後列には太鼓を叩く加藤君の姿があった。


これぞ見栄っ張りの上海人の象徴。大型ビジョンが5つも設置されたスタンド。全て同じ絵が投影され、メンバー表が表示されることはなかった。


スタジアム隣の地下鉄駅をバックに試合後の記念撮影。友人の鈴木さんと会うことが出来た。鈴木さんは開幕戦のドイツ女子代表×アルゼンチン女子代表につづく観戦。前回大会でも決勝戦と3位決定戦を観戦しているため、女子ワールドカップ4試合連続観戦となる。


スタジアムの近くには、ワールドカップを盛り上げるライトアップディスプレーが多数あった。


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