malicia witness FIFA女子ワールドカップ2007中国
3_上海蟹の故郷へ向かう

今朝も錦江(ジンジャン)ホテルでの朝食。チーズを数種類と皮蛋入りの粥。サラダも食べる。コーヒーはとても飲む気になれないので、紅茶にしておく。たった2杯の紅茶を入れるだけなのに、サービススタッフが5名もっテーブルにやってくるのは不思議だ。コーヒーよりも紅茶の方がマシだろうと思って飲んでみると
「う〜ん、不味い。」
ただ、3日目なので、最初の頃ほどのインパクトを舌に感じない。上海の不味い水に、早くも身体が馴染んできたようだ。
昨夜は、試合後にホテル近くの、もう一つの24時間営業レストラン新旺(シンワン)へ行き、軽くビールを飲んだ。そのこともあって、朝食は軽めにとることにしたのだが、好きなチーズは欠かせない。

錦江(ジンジャン)ホテルは上海では一流のホテルなのだが、従業員は、ほとんど笑わない。ただ、仕事は熱心だ。朝食を食べていても、サービススタッフがテーブルを回って迅速に対応をしてくれる。迅速にといっても日本式とはちょっと違う。まずサービススタッフの数が多い。各テーブルに一人ずつ張り付いてもいいくらいの人数がグルグルと回っている。いや、「グルグルと」という表現には語弊がある。スムーズに回っているわけではない。テーブルに手が届きそうな距離まで来てテーブル上を凝視するのだ。まるで監視をされているような雰囲気だ。そして、終わった皿を素早く片付ける。粥を食べることに集中していたら、視界の外にあったチーズの皿を下げられてしまった。楽しみに残してあったのに。

錦江(ジンジャン)ホテルの向かいにはホテルオークラ(花園飯店)がある。その2階にJTBがあり、今日は、その現地ツアーで蘇州(スージョウ)へ行くことになっている。蘇州(スージョウ)は「東洋のベニス」と呼ばれる古都の一つ。上海からは新幹線で行くことも出来る。蘇州古典園林と呼ばれる名園がたくさんあり、いくつかは世界遺産に指定されている。蘇州(スージョウ)は庭好きにとっては欠かすことが出来ない観光地だ。

ツアーのメンバーは4名。そして上海人のガイドが1人と運転手。手頃なサイズだ。車で移動するので、到着までに約2時間。その間に、蘇州の歴史や中国人の考え方などをレクチャーしてもらう。

「上海の交通は、車優先でも歩行者優先でもありません。勇気優先です。」
なるほど、それはわかりやすい表現だ。通訳ガイドというのは中国でも日本同様に難しい資格試験があるらしい。観光客を楽しませるための持ちネタも豊富だ。その中で驚いたことがあった。
「今、前を走っている車のナンバーをご覧ください。ちょっと色が違っていますね。あの車の近くは走らない方が良いです。あれは人民解放軍の車です。彼らは交通ルールを守らないので市民からは嫌われています。たいへん問題になっています。ただ、これを改善することはなかなか出来ません。人民解放軍は警察や国の干渉を受けないのです。彼らは国の組織ではなくて共産党の下にある組織だからです。」
資本主義の考え方が経済の面では浸透してきている中国だが、天安門事件以降も、上海では、国家(共産党)批判を口に出来るというのは驚きの発見だった。

蘇州では京杭大運河を起点に、庭園や寺を回る。蘇州の周辺は「蘇」の文字が表しているように、作物や水産物の産地となっている。特に、米はとてつもない量の収穫がある(が、収穫量優先で美味くはないのだそうだ)。その昔の物流といえば船。中国には東西を流れる黄河や揚子江といった大河で大量の物資を運んでいた。今と違って中国の都は内陸部にあったため、米の産地から米を都へ運ぶ方法が問題になった。南北に流れる大河が無いため、海を経由していたら、とてつもない時間がかかるのだ。そこで都の人々は何を考えたかというと「杭州から北京まで南北に大運河を造って、東西を流れる大河を全部結んでしまう」という規格外の大発想。パナマ運河の21倍の距離の運河をパナマ運河の2000年前に造ってしまったのだから恐れ入った。まさに、問題点は「人海戦術」で解決するのは中国式。そういえば、今朝のホテルのサービススタッフたちも、質よりも、これぞ人海戦術のサービスだった。

前日に続いて中国式の庭園を堪能し、上海へ戻る。昨夜の疲れがあったのか、車の中でグッズリと寝てしまったので、あっという間に帰ってきたような気がする。同じツアーのお客さんとの車中の会話で覚えているのは、「安かった」と語る2時間のマッサージが8000円くらいで、どうみてもボラレていたことくらい。通常であれば200元(約3200円)程度だろう。他は何も覚えていない。そして同点ゴールのときに痛めたらしい右肘が、やや痛い。

夜になって虹橋(ホンチャオ)迎賓館へ移動。ここは、政府系のホテルで、EU首脳などが滞在したこともある豪華な施設。広大な緑の中にホテルや飲食店の建物が点在している。虹橋(ホンチャオ)は経済特区の一つで日本人が多く住む高級住宅地。在上海日本総領事館もある。訪問の目的は上海蟹。最高級店の方亮蟹宴が、この敷地内にあるのだ。ちなみに、上海蟹を「上海蟹」と呼んでいるのは日本人が中心。本来は中国藻屑蟹という。そもそも産地は蘇州近くの陽澄湖。昔、交通事情が悪かった時代に、蘇州まで行くことが出来ずに上海で、その蟹を食べたことから「上海蟹」という名称が日本で広まったらしいのだ。そのようなこともあって、蘇州観光をした今日こそが、上海蟹を食べるに、もっともふさわしい日といえる(が、旬までは2週間ほど早いのは残念)。

中国といえば物価が安いと思われているが、上海は日本を遥かに超える格差社会だ(どこが社会主義なのだか・・・)。外国人が利用するような店は、だいたい高い。スターバックスコーヒーなど、日本よりも高い。外灘(ワイタン)の夜景が有名なダイニングでは30000円くらいとるらしい(が、笑っちゃうほど料理が不味く残して帰るのだとか)。今回、方亮蟹宴でオーダーしたコース料理は800元(約12800円)。そしてコースに入っていっていない酔蟹(酔っ払い蟹)を追加オーダーした。詳しく味覚を紹介したいところだが、まったく文字では説明不能。「美味い」以外には言葉が見つからない。とにかく贅沢三昧で、どれくらいの蟹を食べたのかわからない、満足な蟹づくしだった。帰国してからわかったのだが、サッカーダイジェストとエルゴラッソのライター陣も、この店で上海蟹を食べていた。

その日は偶然、高校時代の後輩でフロンターレサポーターの真人が上海に来ていた。夜に一緒に飲むことを約束していたが、電波障害でソフトバックはアンテナが一本も立たず連絡不能に。残念なことをした。仕方がないので、部屋でガーナ女子代表×オーストラリア女子代表の中継を見た。


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前夜の新旺。青島ビールで勝ち点1を祝う。



中国語の新聞でも宮間の写真は大きな扱いだった。



ホテルオークラもクラシックホテルの一つ。


蘇州六万人スタジアムの近くを通った。


京杭大運河から遊覧船に乗って移動する。


小さな運河に入る。洗濯物と掃除道具が気になる。


クルージングのハイライトスポット。日本には無い形状の橋が多い。


約15度も傾いている虎丘の塔。


留園は中国四大庭園の一つ。


丁寧に取り分けてくれる蟹料理。濃厚な味覚。


紹興酒で漬けた酔蟹。


フカヒレと蟹味噌が絶妙にマリアージュしたスープ。頼んで良かった。


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