malicia witness FIFA女子ワールドカップ2007中国
5_ロスタイムのゴールは日本を救った

朝食を済ませると、徒歩5分の距離にある美臣(メゾン)ホテルへ向かう。待ち合わせ時間は10:00。ここには昨夜に上海入りをした仲間が3人宿泊している。一人は久保田さん。年間160試合観戦という記録をもつスーパーサラリーマン。書籍「日本サッカー狂会」の呼びかけ人として、今、サポーターの間でも話題の人物だ。久保田さんとはイタリアでボローニャ×ミラン、ペルージャ×ローマを一緒に観戦したことがある。ペルージャでの試合は、そう、中田がローマに移籍して初めてペルージャに乗り込んだ試合。見事なループシュートを決めている。そして、両チームのサポーターがお互いに「俺たちの方が中田を愛している」といわんばかりに、両方のゴール裏から中田の応援歌を歌って張り合ったという貴重なシーンを目撃している。もう1人の男性は池田さん。ハノイでのアジアカップ観戦に2往復、韓国でのU-17ワールドカップに続いて、約2ヶ月間で4度目の海外遠征という強者。さらに女性が1名。マリーシアメンバーの石川ちゃん。中学生の頃からトリコロールを応援していて彼女のことを知っているが、永遠の妹キャラは変わらない。今年でついに30歳に。昨年のドイツワールドカップでは久保田さんに同行してドイツを縦横無尽にレンタカーで走り回った(が、運転はしていない)。久保田さんと石川ちゃんにはドルトムントのスタジアムでも会ったので、2年連続でワールドカップ会場を共に訪問することになる。

美臣ホテルでは石川ちゃんとだけ合流をし、上海を観光することにする。なにしろ、石川ちゃんは昨夜遅くに上海入り。明日の9:40の便んで上海を発つ。観光をするとなれば今日しかないのだ(そして、この日程が後に石川ちゃんをアクシデントに陥れるのだ)。まずは、地下鉄で浦東(プートン)へ向かう。

イングランド女子代表戦の前に対岸から夜景を眺めた浦東(プートン)。アジア金融の中心街だ。高層ビルが建ち並ぶ上海の新市街。川岸へ出てみると、対岸の外灘(ワイタン)の歴史的建造物が立ち並ぶ景色がよく見える。こちらから見る旧市街も、なかなかのものだ。そこで、さっそく石川ちゃんが仰天の発言をする。
「なんか上海、超気に入った。来るの迷ってたけど来て良かったよ。」
「どの辺りを気に入ったの?」
「だって、肩とかぶつかっても、謝らなくて良いんでしょ。超楽じゃん。」
「えっ、普通日本人は、それが嫌だっていうんだけど、そこを気に入ったの?」
「だって、超楽で良くない?」
この発言で、こちらも超テンションが上がった。

浦東(プートン)から外灘(ワイタン)へ渡る方法は、地下鉄、車、フェリーなど、いくつかあるが、今回は観光隧道(グァングワンスイダオ)を使うことにする。階段を下りてみると、そこにはロープウェーのようなゴンドラがある。ただのトンネルではない。15人乗りのゴンドラに乗って対岸へ向かうのだ。そして、ゴンドラが動き出すと、そのトンネルはイルミネーションやレーザー光線で派手に演出され、さながらディズニーランドのアトラクションのようだ。
「超きれい!」
「なんじゃこりゃぁー。」
同乗しているフランス人のグループも大興奮している。ただ700メートルほどの川を渡るだけのゴンドラに、このような大掛かりな演出をするなんて、日本人では思いつかないだろう。上海は何でもありだ。ただし運賃は30元(約480円)。これはタクシー初乗りの約3倍、地下鉄初乗りの15倍に相当する。

朝は雨模様だったが、外灘(ワイタン)に渡ると日も差し込んできた。これならば、試合が行なわれる夜には、雨は降らずに済むかもしれない。外灘(ワイタン)から南京東路へ移動。暑いので水を買うことにする。上海のミネラルウォーターはあてにならないので、ソフィテル(ホテル)の売店でエビアンを買う。高いがお腹を壊すよりは良い。聞いた話ではスターバックスコーヒーで腹痛を起こした人もいる。

南京東路の広東料理店の老舗でランチ。オーソドックスな料理だけをオーダーする。それでも、石川ちゃんは、ちょっとヘビーな様子。実は今回の遠征では上海料理店には一度も行かなかった。以前に訪問をしたときに、上海料理の油や味付けが、かなり濃厚だったので、今回は意識的に避けたのだ。帰国して、都内の味が濃い印象の中華料理店の看板をよく見たら、やはり上海料理店だった。

ランチの後は人民広場から地下鉄に乗って南京西路へ。ここにはリッツ・カールトンがあり、シャネル、エルメスなど高級ブランドのショップが建ち並ぶ。上海でも最もオシャレで物価が高いエリアとして知られている。しかし、買うものもなく、結局、昨日も買った莉蓮葡式蛋撻のマカオ式のエッグタルトを大量に買い込んだだけ。これはスタジアムでのおやつ用だ。上海に来たら、このエッグタルトを買わないと損をする。市内各所に出店をしている人気チェーン店だ。

ホテル・オークラを経由してタクシーで虹口球技場へ。久保田さんと池田さんとの待ち合わせは15:45。キックオフの1時間15分前に設定している。イングランド女子代表戦の経験をふまえて、早めの入場をすることにする。遅刻することもなく5名が集まり、いよいよ入場。今日もゲートの金属探知機は鳴りっぱなし。ペットボトルのチェックもない。スムーズに入場をすることができた。

もう1カ所のゲートを見てみると、こちらも金属探知機は鳴りっぱなし。ただし、持ち物の検査は厳しい。ペットボトルは持ち込み禁止。さらには、日本語のプラカードも没収されている(布や紙はOKで厚紙や木は不可のように見えるが真相は不明)。日本人グループが「日本加油」と、きれいにペイントした厚紙のプラカードも没収となってしまった。ただ、スタッフの言葉遣いと態度は丁寧で、没収するが、その前に写真だけは撮影をしてあげる、という対応だった。募集されて意気消沈のグループに、日本から大量に持ち込んだブルーカードを手渡す。今日は、このブルーカードを、出来るだけ多くの日本人に渡さなければならない。

ところが、なかなか日本人に遭遇することが出来ない。ある程度は予想をしていたが、やはりイングランド女子代表戦よりも少数。おそらく100名程度だっただろう。忙しい上海の日本人ビジネスマンは17:00キックオフのゲームに来れるわけがない。また、母子だけでの来場に二の足を踏む心情も理解できる。「これは、また自分の周囲には日本人不在かな」と思いながら、ゲート1の階段を登る。今回は、イングランド女子代表戦と同じてつを踏むことはない。余裕を持って来場できた。

急勾配のスタンドを登って行くと、明らかにイングランド女子代表のスカウティングスタッフが座っていた。とりあえず笑顔で握手をする。握手をすることが何になるわけではないが、とりあえず、なんとなく握手をしたくなったのだ。さらに、階段を登って、最上段から2段目が今日の席だ。なんと、今回は隣の席も日本人だった(といっても2階のこのエリアに日本人は合計4名だけ)。その日本人男性2名は70歳代。お1人は、かつての名門高校(現在は進学校)で高校選手権全国制覇の一員という、もの凄い経歴のサポーター。昨年のワールドカップドイツ大会も日本代表を追いかけて応援したそうだ。今回も第3戦までなでしこジャパンを追いかけるとのこと。ところで、先ほどまで一緒だった3名も、同じカテゴリー1のチケットなのだが、久保田さんと池田さんはバックスタンド1階、石川ちゃんはメインスタンド1階と席が別れる。私たちのいる特等席のメインスタンド2階は、明らかに他の座席よりも空席が目立つ。といっても、全体に空席だらけ。

選手が登場する。ざわざわとしたざわめきが入場した選手たちを包む。やはり、自分がやるしかないようだ。
「ニッポン!ニッポン!」
イングランド女子代表戦と同じように腹の底から叫ぶ。ただ、大きく違うのは、自分の声以外は聞こえないということだ。隣の席の3名は手拍子をしてコールをしているようだが、ゴール裏やバックスタンドから声は聞こえてこない。スタンドを見渡してもブルーカードは点在するのみ。グループでの日本人の応援はほとんどないようだ。試合開始頃になって、ニッポンコールは2倍くらいになる。つまり、大きな声が1人増えて、小さな声が数人増える。日本人家族が1組、メインスタンド2階カテゴリー1の席にいるのだ。そういえば、思い出した。彼らは、イングランド女子代表戦でも、途中から近くの席にいたのだ。ただ、そのときは、応援の声に気が付かなかった。どうやら、彼らは日テレ・ベレーザの大野選手のファンのようだ。

貧弱なニッポンコールだが、ピッチに届いていないことはなかろう。なにしろ、イングランド女子代表×ドイツ女子代表を20:00に控える前座扱いのこの試合に、最初から熱い視線を送る上海人はほとんどいない。
「無関心ってのは勘弁してほしいね。」
「せめてアルゼンチンを応援するくらいはしてくれよ。」
静かに始まった試合だが、イングランド女子代表戦と比べれば、幾分、積極性が見える。
「悪くない立ち上がりかもしれない。」
そして、決定機のシュートはゴールポストに当たる。
「惜しい!」
安藤のシュートが、ゴールポストの内側に当ってゴールインしていれば、この試合の展開は、大きく違うものになっていたかもしれない。だが、ほんの数センチの弾道の違いは、なでしこジャパンを追い込んでいくのだった。

右に安藤を、左には宮間をウイングとして張らせるスリーバックシステム。一見、3枚のディフェンダーで守備を固めるかのように見える戦術だが、おそらく大橋監督の狙いは違ったはずだ。それは、メインスタンド2階最上段から見れば、手に取るようにわかる。
「アルゼンチンの布陣、凄くないか?」
「なに、あの余らせ方。」
「これって、20年前のスイーパーシステムだろ。」
それは「1人を余らせる」などという表現で簡単に表すことができない、見事な地上絵だった。最終ラインの「遥か後」にスイーパーがポジションを取っている。だから、最終ラインの後の両サイドには広大なスペースが広がっている。ドイツ女子代表戦を0−11という大敗で終えたアルゼンチン女子代表は、個人能力の低さを、スイーパーがカバーするという方法でケアしようと考えたわけだが、それを打開するのは簡単に思えた。つまり、両サイドの安藤と宮間、それに加えて、澤、大野、酒井が走り込んで、両サイドを徹底的に攻略してアルゼンチン女子代表最終ラインの両サイドを押し込んでしまえば良いのだ。そうすれば、余るはずのスイーパーが最終ラインに吸収されて、個人能力の劣る最終ラインが、まさに最終ラインとなる。それを突破すればゴールは目の前にあるはず・・・だったのだが。

試合後の選手コメントによれば、最終ラインから中盤に「一枚残ってほしい」というリクエストがあったようだ。なぜ、両サイドを高い位置から押し込むことが出来ず、中盤や最終ラインの押し上げがなかったのか、その真相が、このコメントに隠されているような気がする。チーム全体でいえば「何点獲るか」と口では言いながらも、心の奥底では「負けたくない、失点したくない」という気持ちが強かったのではないだろうか。ベテランであり中盤の底の要の位置でプレーする、経験豊かな宮本あたりが、もっと攻撃的な姿勢を見せるべきだ、という舵取りをしてほしかったが、いかんせん、宮本のプレーの出来が、大会を通じて悪すぎた。判断スピードが遅く、彼女自身が攻撃のブレーキとなっていた状況では、そこまでの重責を担わせることは無理だった。

ただ、手応えもあった。永里の積極性だ。イングランド女子代表戦では途中交代直後に得た絶好のチャンンスを、なぜか横パスでふいにしてしまった彼女は、序盤のチャンスに、まずシュートを放った。絶対シュート撃つのだという意気込みが感じられるプレーだった。ただ、それ以外には、あまり見るべきところがない試合であることも、また事実だった。

重苦しい前半が終わる。試合内容も去ることながら、心配なのは石川ちゃんのことだった。彼女は1人でメインスタンド1階での観戦を強いられているはずだ。しかも、あまり女子サッカーの応援経験はない。先日の国立競技場で一緒に観戦したカナダ女子代表戦が低調な内容だっただけに、この日も上海に来て「ハズレ試合」に立ち会わせてしまったのではないか、と思った。しかし、試合後に話をしてみると、そんな心配は無用だったようだ。
「いやさぁ、席に着いたら、周りが家族席だったみたいで、みんなユニフォーム着てるのよ。それで、自分の席の近くが、みんな背中にISOZAKI、ISOZAKI、ISOZAKI、って磯崎一族に囲まれちゃって・・・。それで、『誰のファンなの?』とか聞かれちゃったんだけど、『磯崎』とか答えるとヤラシイじゃん。ホントは好きなんだけど。で、『みんな』とか答えちゃってさぁ。私、1人でいるじゃん。そしたら、『女の子1人でいらしたの?』とか言われちゃって。『いや、別の席にいる友達と来ました』とか答えたら、『2階にもサポーターの方がいらっしゃるみたいなの』とか言われて、それ石井さんじゃん。だから『あ、それ、友達です』とか答えて、『バックスタンドのあの辺りにも、サポーターの方がいらっしゃるのよ』とか言われたんだけど、『あ、それも友達です』なんて、私、何って感じで・・・。」
実は一番楽しんでいたようだった。そして、そこでわかったのが2階席最上段からのニッポンコールは、点在する数少ない日本人の声と折り重なって、1階席にまで届いていたと言うことだった。さらに、これも試合後、バックスタンドで応援をしていた池田さんの話によると
「とにかく、石井さんがどんな声で、どんな応援をするのかはわかっていたから、メインスタンドの最上段でやっている動きと聞こえて来る声に合わせて、こっちもコールするんだけど、いかんせん、人数が少ないから難しくって・・・。」
腹の底から出す声は、反対側のスタンドまではっきりと聞こえるようだ。

後半に入ると、応援の声や手拍子も、試合序盤と比べれば音量が増してきた。ただし、上海人たちの「前座試合」への関心の薄さは変わらなかった。彼らが歓声を上げるのは、アルゼンチン女子代表がゴール前にボールを運ぶときと、アクロバチックなプレーが見れたときのみだ。全体的にはアルゼンチン女子代表びいきで観戦をしていることは容易にわかるが、本音は、せっかくスタジアムに来たのだから、ゴールと面白いプレーを見たい、という観戦者の素直な欲求を漂わせている。ただ、アルゼンチン女子代表の攻めは単調だ。基本的に2つしかない。
「どーんと蹴って駆けっこか、ゴール前までボールを運べないから遠くからシュートを撃っちゃうか、それしかないじゃん。」
「こんなのに勝てないなんて、ちょっと許されないよ。」
後半序盤から登場した宇津木は、なかなかサイドをえぐれない。
「前へ行けよ!!」
70代のベテランサポーターは叫ぶ。
「いや、行けないんですよ。このチームでは、右サイド(安藤)が上がっているときは、左は上がっちゃいけないことがルールなんです。」
「そうは言っても、ルール守ってるだけじゃ勝てないだろ。」

大橋監督が動き、ゴールヘの道筋が終盤になってやっと見えてくる。怪我をしていた荒川がまさかの途中出場をして永里とのツートップに変更。ちょうど、アルゼンチン女子代表の足が止まり始めたタイミングでもあり、この交代は効果的だった。流れの中で、なでしこジャパンが得る攻めの選択肢が劇的に増える。そして、安藤に代わって登場をして来るのが近賀。イングランド女子代表戦の途中まではレギュラーだった彼女は、途中交代で登場した元レギュラーの安藤に、この日の先発出場の座を奪われた。しかし、ここで、復権のチャンスだ。
「行け!近賀!!遠慮するな!!」
「がんばれ近賀!!」
登場した近賀は、永里と同じように、すぐにシュートを放つ。
「よし!いいぞ!どんどん撃て!!」
ニッポンコールをする声はかすれかけていた。ふと、右を見ると少し向こうの席で、試合前にちょっと目が合ったりしていた、赤いユニフォームのボランティアスタッフ(おそらくシフト上、この試合はお休み)の女の子が、なぜか私に合わせてニッポンコールをしていた。

そこからの10分間は、あっという間に過ぎ去った。チャンスはあるがゴールを割れず、ロスタイムに入る。2階席の最前列には放送席があり、そこで解説の川上直子さんはこういった。
「そんなオイシイことは2度はないですからね。」
ところが、オイシイことは自分で創れば良いだけのことだった。左で引きつけて、右の大きく空いたスペースにボールが送り込まれる。そこには走り込んできた近賀がいて、ゴールまでを遮るものはゴールキーパーただ1人。ただし、角度がついていて、シュートコースは広くはない。その瞬間に、上海人たちにとっては、ただの前座試合だったこの試合は、一気にクライマックスの歓声に包まれる。ゴールを見たい欲求。そして、メインスタンド2階席上段に並んだ私たち4人は、それぞれが、思ったことを願いを込めて叫んだ。
「撃て!」「シュート!」「クロスだ!」「うぁ!!」

近賀の選択肢はシュート。そのボールがこぼれるのが見えた。次に見えたのは、シュートによって揺れるゴールネット。私は飛び跳ねて手すりに激突。急勾配を危うく落ちそうになり跳ね返る。この3万人以上を収容するスタジアムのど真ん中の最も高い場所から、全てを見下ろすように両手をキツく握りしめて叫んだ。
「やったぞー!!」と言ったのかは覚えていない。

試合後に、イングランド女子代表×ドイツ女子代表の試合が始まるまで1時間もあるので、石川ちゃんとも連絡を取り合って、スタンド外周のコンコースを1周することにする。ちょうど、バックスタンドの中央あたりまで来たところで、ふらふらになっている汗だくの日本人を発見する。
「あれ、久保田さんじゃん!」
「久保田さん!やったね!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「久保田さん、どうしたの?全然、声でないじゃん。」
振り絞るようにしてかすれた声で久保田さんが答える。
「いやぁ、もう憔悴しちゃって。今までの女子の試合でいっちばん感動した。すぐ後ろにイングランド人の家族がいて、そいつらが、ニッポンコールをするとイングランドって被せてきやがるんだよ。それで張り合ったら、こんななっちまった。」
会話をしていると、突然、久保田さんが「イングランド!!」と叫ぶ。
「どうしたんですか?」
「ほら、あいつだよ。今、通ったヤツが、オレと張り合ってたヤツ。」
久保田さんに代わって、今度は池田さんがスタンドから現れる。
「いやぁ、最後に、こんなことになるとはねぇ。」
興奮冷めあらぬ感じで会話をしていると、ブレーメンのユニフォームを着たドイツ人が現れる。
「日本はどうだったんだ?」
「1−0で勝った。」
「はぁ?1−0?たったの1点か?俺たちは11点獲ったぜ。」
片言の英語での会話だが、嫌みなヤツだった。
「ホント、ドイツ人のサポーターは自信満々だよね。」

イングランド女子代表×ドイツ女子代表は、予想に反してイングランド女子代表が圧倒。ドイツ女子代表はスミスのテクニックと運動量に手を焼いて、何度もゴールを脅かされる。0−0の引分けだが、イングランド女子代表が勝ってもおかしくない試合だった。ただ、ドイツ女子代表は、底力を見せずに温存しているようなムードも感じられた。この引分けで、なでしこジャパンの星勘定は厳しくなった。劇的な勝利の喜びが半減以下になる望まざる結果だった。杭州でのドイツ女子代表戦も応援をするというベテランサポーターに想いを託しで、虹口足球場を去ることにする。

イングランド女子代表戦で把握したタクシーを止められる場所へやってきた。しかし、空車が全く来ない。タクシーに乗ろうとする大量のイングランド人、ドイツ人が路上をさまよっている。何度か場所を変えてみるが、タクシーがほとんど走ってこない。
「ここは、諦めて、いっちょ、地下鉄で帰ってみるか。」
「まだ、混んでるかもしれないけど、ちょっとタクシーは無理でしょ。」
頭上にある(この辺りは地上を走っている)虹口足球場駅へ入ろうとするが階段が閉鎖されている。他の階段へ回ってみてもシャッターが閉まっている。
「大変だ!地下鉄に乗れない!!」
「駅が閉鎖されてる!?」
「事故を起こすくらいなら、乗せないことで事故を防止しようってことかよ!!」
「それ、すげぇ発想だな。驚いたよ。」
「マジかよ。どうやって帰れば良いんだよ。」

私たちが、別の幹線道路まで歩き、タクシーに乗車するまでに、試合終了から30分の時間を要した。路上には、途方に暮れた外国人たちが溢れていた。


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外灘(ワイタン)を対岸から望む。上海の歴史の重みと新旧の対比が見られる景色。


川の底には、こんな近未来的なトンネルが掘られているのだ。


今度は外灘(ワイタン)から浦東(プートン)の高層ビル群を望む。上海観光定番の写真スポット。中国全土から田舎者が集まっているので、顔もファッションもダサイ人が大半。


歩行者天国になっている南京東路。このエリアにも、中国全土から観光客が集まる。最も中国らしい街の風景が楽しめる。


中国女子代表を起用したアディダスの広告。市内各所で見かけた。


もっともファッショナブルな表情を見せている南京西路の街並。上海は並木道が多い。


上海だと説明しなければ、このひとコマを東京都内だと勘違いするだろう。


エルメスらしい。


今日から参加の歴戦の勇者たち。


ドイツ人サポーターと記念撮影。まさにワールドカップだ。「ドイツはイングランドに12−0で勝つよ」と言っておいたのだが。


スタンドの大半を占める白い集団は学生たち。テントの下に見えるのは鳴りっぱなしの金属探知機。ずっと鳴りっぱなしなので、音が鳴らないと捕まるのかと思った。


赤のアディダスはボランティアスタッフ。


Sが逆さになってZAWA。どこで売っているのだろう。


残念ながら没収になってしまったプラカード。かなりきれいに造り込んでいただけに残念。中国の運営の凄いところは、実施の趣旨をスタッフが理解していないため、スタッフ個人によって運営のばらつきが激しいこと。

VIP席の入り口。実は私の席は、この階段を登らなければならない。ゲート番号は上の暗いところに小さく表示されている。私は、この階段をVIP用の階段と勘違いしたために、なかなかスタンドに入れなかった。

手前に座っているのはイングランド女子代表のスカウティングスタッフ。


「前座」らしく、スタンドの入りは悪い。


2階席は急勾配。


2階席の最前列には放送席がある。川上直子さん生放送中。試合後に遠くからだが、挨拶することが出来た。


ドイツ人サポーター、イングランド人サポーターに囲まれた、バックスタンドの久保田さんと池田さん。


ベテランサポーターと一緒に応援する。


とても、真面目に仕事をしているとは思えない保安スタッフ。手すりに座っている。


試合後に大型画面に映し出された永里。このスタジアム大型画面は上海人の見栄の象徴。5つも必要なはずがない。


試合終了直後の笑顔。よく勝ち点3を獲ってくれた。


イングランド女子代表×ドイツ女子代表のコイントス。決勝戦では、この荒れた芝が張り替えられていて驚いた。試合が始まる前に、スタンドはほぼ満員となった。


金持ち外国人には甘い運営体勢。日本人の私もペットボトルがバレたら没収かと思ったら、ボランティアスタッフが、ひざまずいてコップに移し替えてくれた。隣の席のドイツ人サポーターたちのカップホルダーには缶ビール。何故だ?。ブレーメンユニフォームの感じの悪い兄ちゃんは、缶ビールは飲むはタバコは吸うわとやりたい放題。しまいには、酔って居眠り。


時計は見えない。経過時間は大型画面の時間経過数字を見るしかない。試合中にメンバー表が映ることは一度もなかった。いつでも5つとも同じ絵が投影される。


女性も多いイングランド人サポーター。


タクシーを探すが、タクシーどころか車の交通量が少ない。頭上に地下鉄は走らない。無事故運営を成し遂げたので、きっと来年の北京五輪でも地下鉄は動かないだろう。


ホテル近くの新旺(シンワン)で食事。なんとか23:00から食べることが出来た。劇的ゴールの笑顔。


人数が多かったので、何品頼んだかわからないくらい、沢山のオーダーをした。手前にあるのは青島ビールの大瓶。食事を終えたのは24:30。9時間後には成田へ発つ。
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